2019/07/05 22:04/鷦鷯飛蝗

漣、夕闇、蝉時雨

砂浜、花火に灼かれて

泡立つ虫の複眼を嗅ぐ


臭い夜風を嗅ぐ

昇る煙でかき消える

鼻の奥にふんわりと味わって

催した吐き気が収まる鍵を待つ


火照る躰に寒気が走る

夕凪、忘れた、君の顔

遺された、祭り屋台に髪飾り


逢えないこれからを思う

昇る煙でかき消える

臭いは届かない

催した吐き気が収まる鍵を待つ


灰になった君を

僕は拾えるだろうか

骨壺より軽くなった君を

僕は見つけられるだろうか


ぼやけてくれない視界に

写り込むんじゃなくて

こじ開けた両目に

捉えられるだろうか


砂防林、抜けた先、彼岸花

藪陰、一本だけ、残った花火

紅が黄色く閃いて、萎れていくのを見てる

移って、広がって、青い焔


君の残り香の夜風の幻を嗅ぐ

昇る煙でかき消える

その匂いも

僕の体も

催した殺意が収まるまで待てなかった

灰になった僕を

誰が拾えるものか

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