第3話 やっぱりお母さんが好き

 少年は、母親のことがかなり恋しくなっていた。それは、まだ五才ということも関係しているのだろう。


 一時保護所での不安な毎日。複雑な人間関係。五歳の少年にはしんどいことばかりだ。


 そんなときに、すがるのは優しい母親だろう。毎日厳しいわけではない。時には優しい母親に。



 少年は一時保護所を退所することになった。

 少年は、家に帰れることを喜んだ。だが、違った。本当は施設の入所だ。


 それを聞かされたとき、悲しさで心がぽっかり穴があいたようになった。


 「お母さん! お母さん!」喚き、苦しんだ。何も分からない年でも、家には帰れないと実感した瞬間だった。



         *



 施設での生活は慣れるまで息苦しい気持ちだった。心の何処かではいつも、母親がいた。


 それを糧に、少年は頑張った。



 そして、二年がたち少年は小学生となった。


 毎日学校に行き、友達もつくり、楽しい生活をして心の空白を埋めていた。


 施設での他の児童からの暴言は当たり前のように言われたが、いつも職員が助けてくれた。


 そんな生活を繰り返しながら少年は、青年へと変わった。



 






 


 

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