第2話 おばさん

 家に招き入れられ、ほのかな木の臭いを感じていた。


 「アイスでも食べる?」ひんやりと冷たいアイスを差し出されたので、受け取った。



         *



 「え? 児童相談所?」母親は突然の電話で切羽つまっていた。


 『息子さんが虐待をされているとの通報を受けたので、一時保護しました』


 「そ、それはいつ帰ってくるんですか?」


 『それはお答えできません』


 父親は、額にシワを寄せながら、横目で母親を見ながら煙草を吸っていた。


 「わかりました」電話を切った。


 「あの子……施設に入ったってさ」


 父親は癇癪をおこして、母親の顔面をサンドバッグかのように殴り続けた。 


 母親は膝まつき、怯えながら土下座した。



         *



 少年は一時保護所で友達が出来た。


 その子と、名前を呼びあい。一緒にTVを見て、一緒に勉強をする。


 友達と関わることで、不安な気持ちを考えないようにしていたのかもしれない。


 だが、その友達は退所した。


 居なくなったと気づいたとき、一気に母親が恋しくなった。


 みんなに気づかれないようにトイレで泣いた。「お母さん、お母さん」と。


 

 


 

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