第2話 山の上の家

 慧さんは僕の入った瓶と餌の小箱をしっかり両手に抱えて、できるだけそっと揺らさないようにしながらバスに乗った。


 僕の瓶には蓋があって空気穴がいくつもあけられている。

 それでも慧さんは心配だったみたいでバスが揺れる度に僕の様子を気にしてくれた。


 バスを降り、しばらく舗装されてない山道を登った先にその家はあった。


 僕には初めて見る空と緑と太陽だった。

 雑貨店の電球の光とは違う眩しさに、僕は思わず、流木の下に隠れこんだ。


 慧さんが笑って言った。

「白玉ちゃん、家に着いたよ」


 古いけど大きな青い屋根の一軒家は高台にあって周りを森に囲まれ、庭からは遠くの海が見えた。


 暖かな日差しが瓶を優しく照らしていた。

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