3 貧乏くじの給仕(1)
「本日は三十一日にございます」
早朝、
「はあ」
フェリアは素っ気ない返答を
女官長は顔こそ動かさないものの、
「
庭園を言っている風に見せかけて、フェリアに華がないと言っているのだ。その意味がわからないフェリアではない。フェリアもフッと鼻で笑い、薬草畑を
「実のなる華がもう少しで
実の力、実力が私にはありますのよと、フェリアは応戦している。
女官長の目の色が変わる。女官長の低位妃候補に対する
だからこそ、女官長は
「では、華が咲くまで……実を成すまで、愛でる
王の来訪は必要ないだろうと女官長はニヤリと
「元よりそのつもりだと二カ月半も前にお伝えしましたが、お忘れに?」
確かにフェリアは二カ月半前に、女官長に言い放っていた。『ここに来たくて来たわけではありませんし』と。女官長の仕返しも、王のお越しもフェリアにとって、どうでもいいことなのだ。
女官長は、いっさいへこたれないフェリアに
しかし、先に
「王様のお越しを
女官長は大きく目を見開いた。自身の行った仕打ちが自分に返ってきたのだ。そんなことがマクロンに知られてしまえば、女官長の立場はなくなるだろう。
しかし、フェリアに
「これだから、
後宮のことは後宮内でおさめるのが美徳と言っている。女官長はふふんと笑った。それに対して、フェリアはうふふと笑う。
「ええ、田舎
フェリアは女官長の
女官長は
そして、女官長は見事マクロンを足止めする。邸の管理についての諸問題を
やがて、王の元に仕事の
しかし、これが女官長の
夕刻はやってくる。
王のお越しの日だということを、フェリアも
ビンズは急ぎ足でフェリア邸に向かっていた。王の来訪の
侍女もいないフェリア邸にそれを告げる者はいない。今朝は女官長が行ったが、その女官長の
二カ月半前のマクロンであるなら、
「フェリア様、急ぎお
ビンズは夕食を作っているフェリアの元に
「ふへ?」
「王様がお越しになります。急ぎ……湯あみとお着替えを」
フェリアは思いっきり
「嫌よ」
そう答え、作業を続けている。
「フェリア様」
「このままでいいわ。これが私だもの」
ビンズはフェリアを
「
フェリアの髪のリボンが風に
ビンズや担当騎士らは固まった。やはり、規格外のお妃様だと。加えて思う。やっぱり、侍女が必要であったのだと。自分たちでは、このお妃様を
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