第11話死期神3
仮面の天井
女性の窒息死体が、近頃新聞記事やニュースで取り上げられる頃、私は東京の従姉の家に遊びに行っていた。
彼女も私の力(死期が見える)のを知る一人である。彼女の子供たちと遊園地に遊びに行っているときであった。
死期の近い、それも殺人による映像が見えた。白い壁に囲まれている部屋の中に、体を縛られた状態で寝かされている。
私の映像は、その人物の目の情報から見てる物を見ることが出来るのだ。
だが、この部屋の中で一番異様だったのは、天井に張り付けられている沢山の白い仮面であった。
まるで、さっきまで生きていたかのように仮面の人物達は、息苦しそうにしていた。
だが、その一つの仮面になにか見覚えがあった。あの新聞記事に載っていた女性であった。その仮面(デスマスク)が飾られているのだ。
今、わたしが観ている映像は、犯人が女性を殺害しようとしているところであった。
その人物は目の部分を仮面で隠して、拘束している彼女の顔に覆えるだけのプラスチックのマスクを取り付けて、寝かせたまま上部の隙間から、ドロドロの液体がが流れ込んでいく、耳につく頃には、女性も恐怖して、体をバタバタさせるが、動かすことができない、目からは足だけが上下に動くのが見えた。
白い液体は女性の口に鼻に入り込んで、見てる私でさえ息苦しくなり、後は白い世界が、瞳を覆い被さってしまった。
あまりの惨たらしさに、子供の前で吐いてしまった。
それからは何も出来なかった。自分の無能さに苛立ってしまう。あと何日かしたら女性は殺されるのに、その人物の姿が分からない、
あれから、連絡をとっていなかったが、私の能力を知る刑事の彼に、助けてもらうしかない。
連絡をすると、急いでくるとのことであった。あの新聞記事の窒息事件との関わりがあるのも、彼を駆り立てたに違いない。
彼が来るときには、私は従姉の家にいた。刑事の彼は、夜の九時頃に訪ねてきた。
夜遅くにすいません。でも、あなたの意見で、もしかしたら私が観た女性が助かるかもと思ったんです。
いいですよ。人を助けたい気持ちがあるのは、凄いことだと思います
ニッコリと私の方を見つめながら、爽やかに対応してくれるのは、助かるのである。
で、その映像では、何もない白い部屋に天井にデスマスクが飾れてあったとのことですが、
はい、あれほど不気味な映像始めて見ました。顔をコレクションにしてるなんて、それも天井に張り付けるなんて異常ですよ
確かに、異常犯罪者の考えることは、一般の私たちには分かりませんからね。
それで、本当に部屋の印象は、それだけでしたか?例えば、何か印象に残ったものや(あれ)って感じたものありませんでしたか?
白い部屋と言う以外には、何も浮かびませんでしたけど、ただ、縛られた女性に違和感がありました。あまりに冷静な感じだったんですよ。いえっ死ぬ前は、確かにもがいてはいたんですが、その前は冷静だった感じで、もっと恐怖がわいてくる感じがあるんですよね。
すると、被害者の知人か恋人が、この窒息事件の犯人ってことかも知れませんね?
そいつは、自分の周りの人間でさえも、殺害してしまうなんて、本当に最低です。
静かな怒りが、フシフシと沸き上がってくる、その怒りを誰にもぶつけれない、
悔しい・・・悔しい・・・
我々、警察も何度となく、未解決で終わらせてしまった重大事件扱ってきました。
素人のあなたが、ここまで落ち込むことはないですよ。
失礼だわ、素人だから、警察のようには捜査は出来ないと言いたいのかしら、
彼の一言は、私にとって余りにも残酷な言葉に近かった。
けっ決してそんなつもりではないですよ。どんなに頑張っていても、掴めないものだってあるってことですよ。
ただし、あなたには、預言出来る能力がある。
あなたが、この事件を解きたい気持ちは分かってます。
ですから解きましょう。
この事件の真相、ただそれには君の観た全て、何もかもが必要なんだ。
頼む、記憶をフル回転して、覚えてることは全て言ってくれ、
でっでも、そんなこと言われたって、
それは、偶然それとも何か自分には奇跡のようなものを持っているのか、
従姉が大切しているポスターが壁から剥がれた。
フワリと落ちていくポスターが私の記憶に刺激を与えてくれた。
貼紙・・・貼紙ですよ、刑事さんあの部屋の端の方に貼り紙がありました。大学の・・・そうです、⚪⚪⚪芸術大学って書いてありました。それも、一ヶ月後の文化祭のポスターでしたよ。
ほっ本当ですか、では明日、その大学に行きましょう。
その時、ポトン・・・(涙)・・・何かが不意に私の頭の中に入ってきた。
大学に着き、刑事さんは大学の先生に事情を話して、石膏を扱っている学生がいないか、聞きに行った。
大学内部を歩いていた。様々なオブジェが校庭に飾られてあり、退屈はしなかった。
その時であった。私の横を男女が通りすぎた。これは感などではなく、男性の着ていたシャツに描かれていたキャラクターが、あの殺人犯と同じものであった。
刑事さんが来て、私はすぐに彼ら二人のことを話した。すると、話した二人の男女が石膏を扱っている生徒だと知り、私達二人は、確信を持った。
・・・・・・彼だと・・・・・
それから私達は二人を離して、彼女の方を私が保護して、刑事は男性を別の部屋にやった。
これで、殺人は防げた。
女性を椅子に座らせて、全てのことを話す、女性も始めは冗談半分で聞いていたが、助けてくれたお礼に家でお茶を出してくれることになった。
刑事さん大丈夫かな
大学の一つ部屋を借りて、任意の取り調べが始り、男性はオドオドしていた。
刑事さんですか、等々気づいてしまったんですか。
認めるんですね。
はい、彼女がしてきた犯罪の数々と私がした遺体遺棄したことですね。
男性が口にした思いがけない告白は、刑事を青ざめさせた。
彼女が危ない、ドアを出て携帯に連絡が着ていた。・・・彼女の家で待ちます・・・部屋に戻り男性に彼女の家に案内するように言う。
家に来てお茶をもらう。私には、あの映像の中で、涙の意味が気になる。
あの涙は犯人が仮面の中から流したものであった。口がゆっくり動いたとき、罪を償えであった。
はっ・・・わっ私帰りますね、刑事さんと帰らないと、
フラリと体が揺れた。体が動かない睡眠薬が薬の中に入っていたのだろう、私も彼女の芸術の一つになってしまうのかもしれない、意識はそこで途絶えた
刑事は、彼女の家に着いた。ドアを蹴破り中に入った。不法行為とわかっていても、死んでしまったらおしまいだ。
中を調べたところ、地下に通じる階段があり、降りることにした。
白い壁の中に、プラスチックで造られた水槽に、無理矢理閉じ込められた姿の彼女と犯人の女性が機械の前で立っていた。
急いで取り抑えると、なんとか彼女を助けることが出来た。
後々の調べで、彼女が入らされた水槽には、子供を生きたまま入れて、石膏にしようとしていたらしい。
なんとか、今度も殺人は防げましたね
でも、私が被害者になるところで、恐かったです。
だっ大丈夫ですよ、私が守りますから
刑事さんが言うと、二人は照れ臭そうに赤くなった。
完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます