第3話黒い世界
私のお姉ちゃんは、いつも笑っている。友達の前でも家族の前でも私の前でもだ。
私が幼稚園に入り、お姉ちゃんが小学四年生の時に、親が離婚することになったが、それでもお姉さんはニコニコしていた。我慢してるって私でもわかるくらい。笑っていた。
私、知ってるんだよ。お姉ちゃんが家の浦で泣いてるの、知らないと思っているでしょう。
ある日、お姉ちゃんが私を連れて、母ちゃんに頼まれたおかず買いに行く、お手て繋いでを歌いながら、二人であるいている。
家に近づくと大きな柵で、私の家の向こう側は覗けない。でも、お姉ちゃんは違った。私より大きいから、何とか向こう側を背伸びしたり、ジャンプしたりして見ることが出来た。
小さな蟻さんを見つめながら、姉に手を引かれ歩いていると、姉がいきなり止まったから、姉の背中に頭をぶつけてしまった。
「イタッ・・・どったの?お姉ちゃん」
「あっごめん、なんでもないよ」
お姉ちゃんは静かにニコニコ笑っている。でも何かおかしい?なんなのか分からない。するとお姉ちゃんは、やっとわかるくらいの声で 、「嫌ね、こんな黒い世界」と口にしたけど、
「何か言ったお姉ちゃん?」問いかけてみたが、「うんん」首をふった。
それから、母ちゃんは死にました。お姉ちゃんが寝てる母ちゃんの胸に刃物を振りかざしたのです。
お姉ちゃんは、施設に入りました。その後もお姉ちゃんとは、手紙だけですが話してはいました。
いつからか、姉の手紙が来ません。私ももうすぐ、中学受験に準備している五年生になっていました。久々に私が住んでた家に行くことができました。家は取り壊されず、新たな住人が入っていました。あの姉が立ち止まった柵に私もたちながら、家の中を覗きました。
何もないただの引き戸、向こう側がガラスから少しだけ覗く事ができる。
お姉ちゃんは何を見たのか?
それから半年過ぎて、姉の死を知りました。姉が妹の私に心配かけないために、言わないでほしいと願っていたのだ。
その後遺品と遺骨をもらう事ができて、私は拝見していた。姉は始め日記を書いていたが、死に近づくにつれ、体がいうことをきげず、最後はビデオテープで、日記をしていました。
あるひとつのビデオテープに、(妹へ告白)と題が書かれたのがあり、私は再生した。
「これを見てるってことは、お姉ちゃんは死んでるんだろうね。だから、最後に私が母ちゃん殺した理由教えるね、それは、あの家の引き戸のガラス越しから覗けた場面に私は怒りを覚えたの、ちっちゃかったから見えなかったやろうけど、母ちゃん私のクラスのそれも私の彼氏のお父ちゃんと体を絡み合っていたの、もうわかるよね、セックスしてたのよ。あんな、汚れた世界の中で私達は育てられてきたのかと思うと、絶えきれなくなって母ちゃん殺しちゃた。」
話を終えると、お姉ちゃんはにっこり笑っていた。
完
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