第九章[渦中]
そして卒業できるかどうかを決める試験を受けた。一番力を入れたのが「国際経済学)でいわば、自分の学習の本丸であった。あとは興味のあった性格心理学をメインにメリハリをつけて七科目受けてそのうち四科目受かれば卒業で有る
新一は単位修得は既成の事。内容が問われると豪語し。優修得が会長としての義務だと大言していた。中には四十単位近く取らねばならずドイツ語中級も未修得であった者もいた。やはり就職は、その人にとっては簡単で、むしろ卒業が難関だったのである。問題なのは新一の楽勝の雰囲気であった。
まず私の成績は良好と云っていい評価では国際経済学は良で有ったが「リーダシップ論)、「性格心理学」と云った勉強の本丸が優で専門科目十六単位以上は楽々突破。仲間もありとあらゆる手段を使って卒業を達成した。
だが新一は一科目を残すだけであったが、油断で落としてしまい留年でどう頼み込んでも再試験は行われずダメは動かず悲嘆にくれた。この波紋の渦中に卒業したわたしも巻き込まれるのである。
「試練」の時であった。
新一の留年は、決定した。内定していた大手音響メーカはご破算でまるで人情の入る余地はなく、新一は覇気がなくなりただ酒びたりの日々であった。これからどうするのか算段はまるでなく『お前らの面倒を見すぎてこのざまだ』と悪態をつく始末である。深刻なのは、由紀子もあまり同情せず、わたしに『同情は禁物、それより
)君は立派だわ。就職も学業も頑張って君のような人が好き。佐藤君と付き合っているように皆思っているかもしれないけど、ただのボーイフレンド留年位で驚かないけど、あの人いい加減、そのうえ大風呂敷なだけ、思えば君が。入学した時、半年間は学業に専念すると言っていた話を思い出したわ。浮ついた気持ちで、望めば、それだけの事なのよ。しょせんいくら背伸びしても無理は無理なのだわ。私君でも良いと思えてきたわ。そりゃ佐藤君の面倒は見るわ。でも結婚と恋愛は別物だわ。卒業まで三週間。君の評価か上がっているわ。実はそれを言いたかったの』電話での話であった。だから彼女も興奮状態にあるのだろうと思いつつも、自分の評価が上がる、卒業を三週間残してである。
それが現実であった
カト学の送別会ではあったが顧問の時田先生は佐藤君のことで苦慮し送別会の祝辞はスペイン人のラテン語の権威であるS師がした[はからずも全員卒業と云うわけにはいかず数名もう一年、捲土重来を期してほしい。卒業と云う時まで評価は定まらなかったが安藤君〈私の]頑張りを聞いて彼をもっと重用すべきであったと思うが、これからのカト学を佐藤君と共に支えて欲しい。そのためにも佐藤君にはぜひ原点回帰して一年間やり直して皆に追いついて欲しい。謙虚に安藤君(私)を見習って欲しい。」自分は、正直斉藤由紀子の言った評価が上がっているとは、このことかと伝えてくれて嬉しかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます