第八章「就活」

三年時の十二月、ゼミも講義も最後の追い込みであった。アキレス腱は独語であったが予習復習に二時間弱を充てて臨むしかない前期はそんなに悪くなかった八割くらいであった。分からないところをいじくるのでなくわかるところを増やすという精神で欠席だけはするまいという態度を堅持した。あとの専門科目は経済原論や日経新聞の延長である。そこを読んでなければ、難しいが読んで入れば理解は容易であった。日経新聞の大きな記事やトピックになっている話題を教授が指摘して大概の話は類推可能であった。日経新聞のスクラップ帳を作成していればどこか当たる中心は経済原論の知識が応用できれば大丈夫であった。それでも四年に四科目残すことになるが,四年も講義が有るが、最後まで学問を修めたく急に就活だけでゼミだけ履修と云うのは、それだけ優秀と云う事ではあるが私には考えられない事であった、自由に学べるのが四年だと思うのが自分のやり方であった。評価の厳しい「リーダシップ論」心理学科の「性格心理学」そして「国際経済学」勿論ゼミなど出席が前提の科目であと二つ滑り止めのつもりで「経済学史」と「欧州経済史」は講義を把握していれば出席はこだわらない教授の科目であった。この頃は学ぶ喜びで一杯であった。コクヨの先輩訪問もしたし、親せき縁者にコネになってくれるように四月に頼み込んだら上智でそこまでやっているなら力を貸そうと言ってくれた。あとは同業他社に先輩周りをしてこれ以上考えられない就活なはずであった。

問題はリクルートスーツを着て暑い中会社回りは、今までとは違う世界であった。

「就活は絶好調とは言えなかった。

自己PRと自分を売り込む―セールスポイントを稼ぐという一点が欠けていた。謙虚さというものは、かえってマイナスで前途は暗澹としたものだった。、内定が一つでも取れれば、状況は変わったはずであった。しかし内定がとれず会社訪問の面接のときポイントを稼ぐことが出来なければダメデ私には未知の世界であった。自分に脈が有ったら会社は学生を囲い込むはずである。仲間と違う明らかに苦戦である。わたしにはどうしたら好転するか分からなかった

就職指導室の所長にやり方が悪いと言われ基幹産業のD社に軽い気持ちで受けてみなさいと言われ半信半疑で受けてみるとすんなり内定が取れた。就職担当者は、就職活動はセールスと同じなのだよ。初陣は、こんなものかもしれないよ。人好き合いも大切にしなさいと言われた。君のようなまじめすぎるのも考えものだ。

D社について知っているのは会社季報で基幹産業大手でMグループの一員であり、第一志望の会社より会社の格は上である。正直な所正常な学生生活に戻りたいからその一心で承諾して就職活動は終わった。

「挫けずに。」すべてが終わったわけではない。自分が楽勝科目を取った訳ではないことを思い、わけのわからない社会の一断面とたまたま遭遇してしまったと思い、3週間ぶりに講議に復帰した。わたしは学問の世界の暖かさを肌身に感じた。特にイエズス会師のY先生の「リーダシップ論」の先生は『よくやった。あとは君の努力次第だとレポートならば頑張れる。残りの科目も友達のノートのコピーを借りたのだが挽回する自信はあった。自己診断するに書き物をまとめるとか文章を創作するのに才能が有るのでは、ないかと思うのであった。

然し社会は、混沌と不条理に満ちていることが垣間見られ一抹の不安を感じた。

今は挫けずに自ら課した科目の勉強に没頭した。

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