神の裁き
ある広場にやってきたユズル達。
そこは古代のコロシアムのような造りの大きな広場だった。
「まるで文化の森のような所だ、反則のやつ自分の家にこれだけの土地があるのになんでいじめっ子設定なんだ?」
「まあ作者の考えた設定はこのようなものですからそろそろ最終回ですので気を引き締めていきましょう!」
『わいの言うた事正論言うてくれたファンもおるけんそれを無駄にせん事を祈るばかりやな』
その時上空から大きな翼を持つ人影がゆっくりと地面に降り立った。
「最後のバトルフィールドにようこそ諸君!そしてここが君達の墓場となる、異締家の偉大な土地に眠れる事を光栄に思うがいい!」
その人影の正体はやはり大天使姿の異締 反則。
先程ユズルと戦った反則は反則のクローンだった。
聖剣、ハリセンなどそれぞれの武器を握る勇者達。
「反則よ!お前のしている事は世界を混乱させようとしている事なんだ!今すぐクローンを解放して更生しろ!!」
ユズルは声を上げる。
「私はより良い世界を作るためにクローンを開発し、病の治療薬も開発している!私のしている事は世界に役立てようとしている事だよ!」
反則は正論で返す。
ユズルはそれについては何も言えず悔しそうに聖剣を握っている事しか出来なかった。
そこで「いや…」とユイが静かに言う。
「異締財閥が遺伝子組換で新しい生物を生み出す度に新しい病が現れ続けている、その度にそれに対抗する治療薬を生み出し続けなければならずこれは本末転倒です!」
「ククク、察しがいいなお嬢さん…」
と反則。
「新しい病が現れる度我々がまた新しい治療薬を開発していき、我が社は益々利益を拡大していくのだよ、どうだ、良いアイデアだとは思わんかね?」
反則は両手を広げ神々しいスマイルを放つ。
「しかし共にクローンが戦争の道具に利用されて人々が苦しむ事になるんだ!こんな事はあってはならない!」
ユズルはまた声を上げる。
『ほうや!わいの世界もあんさんの作ったモンスターに似た奴ようけおったしわいのおった世界ではタルタロス言うてクローンみたいなんもおったけど戦争も病気も蔓延しとって大変やったで!何だかんだで今の日本みたいな世の中が一番なんちゃうんかい!!』
アレンもユズルにフォローするように怒声を放つ。
「なるほど、その聖剣はギリシャ神話の伝説のあの「神」か!」
「なるほど…歴史は繰り返すとはよく言ったものだ、世界の神話が未来の話だとすると…合点が行く…」
反則は笑みを浮かべる。
『何が合点が行くや!そんな事はさせへんで!!』
吼えるアレン。
「未来は作るものだ!未来を作るのを邪魔する者は誰であれ抹殺する!!」
反則は翼を広げて体から眩い光を放った。
「世界の平和は俺たちが守る!!うおりゃーー!!!」
ユズルは聖剣を持って反則に斬りかかる。
その時反則はある塊を目前に差し出す。
「!!!」
ユズルは斬るのをやめる。
「あ、あれは!」
『ほんまに約束通りになったな…』
なんとその透明の塊の中に坂丸が閉じ込められていたのだ。
反則は坂丸を盾にして攻撃を防いだ。
「隙あり!!」
反則は腕を振り上げ牙のような爪でユズルの腹わたを引き裂く。
「ぐわぁ!!」
ユズルは倒れ込む。
「ユズルさん!」
『くっそ卑怯なやっちゃ!それでも天使かい!』
反則は不敵な笑みでユズルの顔を踏みつける。
「神は戦いに手段は選ばないのだよ、神こそが世の中は弱肉強食である事を知っている!」
「畜生…お前のような奴…天使のはずがない!」
ユズルは苦し紛れに嫌味を漏らす。
「ふん、それはお前達人間の言い分だ、それと俺から言わせてもらうと君には色々言いたい事がある」
「な…なんだ…?」
「ユズルさん!聞いちゃ駄目!」
ユイが聞くのを止めようとするが構わず反則は言い出した。
「お前髪が乱れてるし服装もダサいし太っちょだしあまりにも不健康だ、これでは自分にも良くないし周りの人にも不快な気にさせる、それとずっとニートしてて親がいるなら良いが死んだ後はどうする?お前はこの先食っていけるのか?それとお前結婚する気ないのか?この見た目だと結婚する以前の問題だぞ!」
反則は次々とユズルを貶す。
「反則!貴方は!!」
ユイはハリセンで反則に攻撃を仕掛ける。
「おっと♪」
反則は坂丸を盾にし攻撃を防いだ。
バキイ!「ぐはっ!」
ユイのハリセンが坂丸に命中し坂丸は血を吐く。
「坂丸さん!ごめんなさい!!」
「ふんっ!」
反則はかまいたちを放ちユイを弾き飛ばした。
『おどりゃ!人のこと散々貶しといておどれはオメコ傷つけてどないすんのや!!』
怒声を上げるアレンだが聖剣が故にそれ以外出来ない。
「負け犬の遠吠えだな…」
余裕の反則。
「それと君達、世の中で一番罪なものは何か知ってるかね?」
反則が話を切り替えしてきた。
顔を踏まれたまま傷つきただ泣くばかりのユズル。
「それは弱さだ!」
反則はユズル達に現実を教えてあげようと弁をはじめる。
「弱い者であればあるほど親の仇のように咎められやすく、責任も負われやすい…それは弱い者=悪ということ、そしてユズルのその闇のオーラは一人で悪を背負ってきた、それは弱者の証だ!!」
お、俺の闇の力が弱者の証だと!?
ユズルは弁に引きずり込まれショックを受ける。
「ユズルさん!その者の言うこと簡単に信じないで!!」
ユイは懸命に励ますがユズルは固まったまま何も喋れないし立ち上がれない。
そんな時のこと、ユイとは別の女性の声が響き渡った。
「情けないねえ!暗黒の力の持ち主なら暴言の一つや二つ開き直ったらどうだい!?」
「あ、あなたは!?」
声のした方向に振り向くユイ。
その場所にはボンテージ姿に警官帽を被ったユイがコロシアムの応援席の場所に立っていた。
「それとこいつは返してもらうよ!!」
そしてボンテージユイはハリセンをブーメランのように投げ、坂丸を覆っていた厚い氷の壁をその熱で溶かす。
坂丸はその場に倒れ、ボンテージユイが介抱してあげた。
「洗脳が解けたかYUI!私が死んでも代わりはいくらでもいる!このことを上層部に報告すればまた別の奴らがお前らを捕らえにやってくる!!」
「お生憎様、あなた方の悪事についてはこの資料にまとめて納めてあります!」
吼える反則。
しかしユイはその資料の山を出して密告しても無駄といった態度を示した。
「くそっ、覚えてろよ!」
逃げ出そうとする反則。
『反則の奴逃げ出しよるで!早よとどめさせや!!』
アレンがユズルを急かす。
「そ、そうか!」
ユズルは立ち上がり、暗黒の力を放った。
「ギャアアアァ!!!」
反則は消え失せた。
「終わる…何もかも…」
ユイは安心するように漏らす。
「嫌、まだだよ!」
ボンテージユイがユイの側にやってきた。
二人はクローンだけあってやっぱり似ている。
しかし心なしか、ボンテージユイ、ユイ先輩の方が凛々しくて、やや身長が高い気もした。
そして暗黒の力を浴びた反則の体は縮み、黒い何かの生き物のような姿となって地上に落下する。
「な、なんだ!?」戸惑うユズル達。
ボテッと言う落下した時の音を表現したらそれがしっくりしそうな表現で落下したその黒い物体からは何かの音のような声でこう放った。
『コノヨニ イジメガアルカギリ ワガシャハエイエン二ハテルコトハナイ…』
こう声を放ち終えた後その物体はジュウゥと音を立てて消えていった。
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