唸れ暗黒!

反則は六枚の翼を広げ光の風を吹き荒らした。


ブオオォー!!


「な、なんて風だ!」


ユズル達は足で支えているのがやっとと言う状態。

そんな時ユイが飛ばされる。


「キャアッ!!」

「ユイさん!」


助けに行こうとするユズルだがユイがそれを止める。


「ユズルさん!ミーの事は大丈夫!それよりもその秘めたる暗黒の力で風を吹き飛ばして!!」


「暗黒…そうか!」


ユズルは聖剣を握り聖剣に暗黒の力を込める。

そして満タンまで溜めた後にそれを一気に放出するように振りかぶった。


「行けえーーー!!」


ユズルの暗黒の力が放出される。


「何!?我が光の風が!」


反則の放った光の風はユズルの暗黒の力で止んだ。

しかしユズルはその後頭がくらっとした感覚を覚えて地面に膝をつく。


「ハァハァ、剣を振った後なんだか気分が悪い…」


暗黒により体力を奪われたユズルを前に反則は勝ち誇ったように笑う。


「フハハハ!暗黒の力を一つ使ってこのザマとは!貴様はその程度のクズなんだよ!」


体の動かないユズルに対し反則の蹴りが入る。


「ぐはっ!」


蹴り飛ばされたユズルは剣と距離が離れてしまう。


『あかん!ユズルはん!!』


アレンはユズルを呼びかけるがユズルはもがくばかりで戦えもしなかった。


「ふふふ、これが「聖剣」か!」


反則は剣を握りマジマジと見つめる。


『なんやこの男近くで見たらめっちゃ男前やんけ///ブサイクなユズルよりこの男に握られとる方がよっぽど良えわ♪』


アレンは反則に一目惚れしてしまった。


「させませんっ!」


ユイはハリセンから炎を放出して弧を描くように振り、炎を飛ばす。


「ふんっ!」


反則はその炎を消し飛ばしてしまう。


「そんなっ!アレンさん、貴方は!!」


聖剣は待つものと聖剣自体の感情で威力が左右される。

ユイは聖剣アレンは反則を選んでしまったのではと勘ぐった。


『悪いなユイちゃん、わいこの男の方が良え男やし握られ心地も良えけん、それに反則はんやったらオメコようけはべらせとるんわかるけん反則はんにオメコ分けてもらうわ♪』


ギリシャ神話の神は意外とお花畑が多いと言うがここまでとは…!


「その通りだ!我につけば名誉も女も我と同様手に入る!このブサイクなユズルとか言う男より我についてくる気は無いのか!」


反則はユイに手を差し出す。


「ありませんっ!」


ユイの即答、その後ユイはユズルに叱咤をかけた。


「ユズルさんっ!早く暗黒の力を!!」

「ユイちゃん…しかし暗黒の力使った後めっちゃ気分悪いし…」


ユズルは暗黒の力の代償で気分悪くなるのを恐れていた。


「まだ無駄な抵抗するのか!?」


反則の一振り、「くっ!」ユイはハリセンを硬化させ剣を防ごうとするがそのハリセンが飛ばされユイは手に痛みを覚えて右手を左手で抑えていた。


『ユズルはんっ!』


そんな時アレンがユズルに声を放った。


「こいつ、チャーム(魅了)を自力で解いたと言うのか!?」

『当たり前や!おどれの魔法これ以上食らうか(せっかくのファン逃す訳にもいかんしな)』



ユズルがそこで仲間の危機を悟ったのか暗黒の力を放つ。


「ユイちゃん!!」



暗黒の力が反則に直撃、反則は剣で振ろうとしたがアレンがそれを遮り、反則は振ることが出来ず暗黒を食らう。



「良かった…ごほっ!」


ユズルはユイが無事であるのに一安心はしたが暗黒を使った衝動でまたも体に異変を訴える。


「こしゃくな!!」


反則は聖剣を投げ捨てた。

ユズルは暗黒の力を二度放ち、体調を崩した状態だ。


「ユズルさんっ!何故暗黒属性でありながら自分の暗黒に負けてしまうのです!?」


ユイは戸惑う。


「手こずらせやがってこのクズが!!」


ユズルを何度も足蹴にする反則。


『ユズルはん!あんたが暗黒の力で具合悪うなる理由わかったで!!』


アレンが叫ぶ。


「そ、それは…!?」


と、ユイ。


『ピンキリマンの闇系のシールに可愛子ちゃんがおらんけんや!!!』


「……………」


ユイが無言になる。

ピンキリマンとはキャラクターの絵柄が入ったシールが入ったチョコだが、光、中、闇と三種類のキャラのシールが入っている。


光はハニーまりりんとか十字架桜ちゃんとか可愛いギャルのシールとかの可愛い系、小山神帝とかスーパーユウとかカッコいい系が目白押しだが闇には


フランケンヒロやオルトロスカズなどやイカつい系のモンスターしか入っておらず、それで「なんで闇系にはカッコいいんとか可愛いんとかおらんのじゃー!!」と何度突っ込んだ事か…。


そしてアレンがユイにテレパシーを送る。


『せや!ユイちゃん!ユズルはんに「ミーがユーの闇系になってあげる!」て言うんや!!』



「な、何を言い出すんですか!?」


ユイは早くも拒否反応をおこす。


『ユズルはんは闇と言うんに良いイメージ持っとらんけんユイはんが敢えて闇系に立ってくれたらユズルはんは暗黒の力使うてもいける思うで!』



「ノー!そんなの嫌だ!!」


今度はユイが喚く。

一方のユズルは反則に蹴られっぱなしだ。


「ハハハ無様だなユズルよ!暗黒の力にだけでなく女にまでフラれるとはな!!」


「ユイちゃん…たの…ぐふっ!」


ユズルもユイに闇系になって欲しいと頼むがユイにはそれこそ無理難題な話である。

一方の反則はユズルをストレスを発散するかのように蹴って遊んでいる。


「に………逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ!」


ユイは言い聞かせる。

ユズルの闇になるのは嫌だがそうするしかユズルを救う方法が無い。

そして戦の神アレンもこう言っている。


そしてユイはユズルを見た。

反則がユズルを蹴り続けている。

この光景がユイには昔のあの光景に映ってきた。



ーーー


罠だと知りながら体育館のある場所に話し合いに来たユイ。

そこで布が被さり息が出来ず前も見えない状態になる。

そこで複数の不良がまるでストレスを吐き出すかのように暴言や暴行を働く。

思い出したく無い過去だが同じような目に遭っている人も見たくない。

天使のようなユイならそう思ってしまうのも当然だ。

そしてユズルも同じ目に遭っている。


そしてユイは誓った!

ユイは服を脱いでボンテージに着替えた。



「ユズルさん!み、ミーも闇系になります!ですからファイティン!!」


ユイは顔を真っ赤にしながらユズルにエールを送った。


「うおおおぉ!!!」


ユズルに闘志が湧いてきた。


「な、なんだ!?」


戸惑う反則。

ユズルに暗黒の鎧が纏う。


「ユズル!ついに暗黒に目覚めたか!だが言ったはずだ!光と闇は裏表一体だと!」


裏表一体とは闇は光に対して莫大なダメージを与えるが逆も然りと言う事だ。


ユズルは先程よりも更に強い暗黒の力を使ったがさっきと違い体へのダメージは全く受けていない。


「こやつ…さっきより大きな暗黒の力を使ってなんとも無いだと…!?」


反則は少し慄きだしている。


「今度こそ俺は闇を克服した!ここまでだ反則!」


「ぎゃあああぁ!!!」


光と闇の激突の末、光が消滅した。

「やっと終わった…」と安堵を浮かべるユズルだが悪役らしい笑い声がクローン室中を木霊した。


『ハハハ!君の暗黒の力、見せてもらったよ!しかし残念ながら私も影武者(クローン)を備えていてね、私はいくらでも蘇るのさ!』


その声は反則!倒したはずの反則までもクローンだったとは…!


「しかし異締撃退の資料は手に入りました、ここから帰りましょう!」「いや…」


ユイは何十枚かの紙を見せて戻ろうと促すがユズルは首を縦に振らなかった。


「中には坂丸がまだ捕らわれている!坂丸を救うまではここから出られない!」


「そう言えば反則がまだ坂丸さんを使うと言っていましたね…」


『ほうやな、ここで終わらせたら作者の書いた事何になんねんて話になるしな』


「そう言う事だ、行こう!」


ここで話を終わらせる訳にいかない!

先には坂丸救出、そして作者の約束を果たす為の試練がユズル達を待っている!


今度こそクライマックス!

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