ニュータイプの誕生

「ここが異締コンツェルンか…」



大きな機械的な砦…。

ここにクローンが作られているのだろう。


『ユー!ユーのようないたいけなレディにこれを任せるのはソーリーだがミーやユーのようなレディを増やさない為にもこの戦いは終わらせましょう!』



ユイ先輩がユイに叱咤をかける。



「イエス!ミーにどれだけの事が出来るのかわからないけど…この戦いは必ず終わらせます!」



その前には地球外生物と思しきモンスターがユズル達の行く手を阻んでいた。



「この生物達は異締バイオテクノロジーの遺伝子組換技術で作られた生物です!ここに来る者から守る為に作られたと思われます!」


ユイがハリセンを取り出して構える。



「なんかファンタジー映画に出てきそうなモンスター(やつら)がいっぱいいるな!」


ユズルも剣を構えてモンスター達を睨む。


『いや…』


聖剣アレンがユズルの言葉に軽く否定をかける。


『わいは最近こう言う奴らおらんでどしたんかな思うとったとこや…わいらのある世界じゃこう言うんぎょうさんおったで!』



目の前のモンスターはファンタジー映画に登場するようなドラゴンや、キメラ、ケンタウロスなど馬やライオン、狼など様々な動物を無理矢理合体させたような生物が沢山いた。



モンスターが襲いかかる。



「ひいっ!」ユズルはビビるがアレンが即フォローに入る。


『こんなんどうって事ない!あんさんもバイクで事故っても怪我せえへんかったやろ!これは聖剣持っとったけんや!大船に乗った気分で戦いや!!』



「ええぇい!!」


一方のユイはハリセンを片手に勇猛果敢に戦っている。


『見てみい!そこのお嬢ちゃんもやんりょるやろ?男なら根性見せえや!!』


ユズルはアレンに叱咤をかけられヤケクソ気味になる。


「ああもう!」


ユズルも聖剣を振り回してモンスターと戦う。

その時ドラゴンが火を噴く。


「火!?熱っちっ!!」


ユズルはドラゴンの吹いた炎に転げ回る。


「大丈夫ですか!?」


ユイがユズルの衣服に着いた火を叩き消す。



『男のくせに女に守られてどないすんねん!』

「アレンさん!ユズルさんは戦い慣れてないだけです!詰るのはナンセンスじゃないのでは?」


アレンが詰るのをユイが助け舟を出してくれた。

しかしユイに助けられ男心にプライドが傷つけられるユズルがいた。



「うおおおぉ!!」


今度は負けじと突っ込むが戦闘慣れしていないユズルは先に息を切らしてしまい、またユイに助けられることになる。



ユズルはニートとして過ごしてきた為体力がついておらず、女の子のユイにすら体力面で劣っていた。



「ユズルさん、一生懸命なのはわかります、でも無理はしないでくださいね?」


ユイの一言がユズルには堪えた。


モンスターの群れの攻撃は終わらない。


「ゼエハアゼエハア…」


しかしユズルは剣の振りすぎで既に体力の限界。

そこでユイがユズルを守るように立ちはだかる。


「ヘイ!モンスター達は引っ込んでてなさい!!」


ユイはハリセンから炎の渦を発してモンスターの群れを一掃した。


『グギャアアアアァ!!!』


モンスターの群れは阿鼻叫喚を上げて消滅した。


『お嬢ちゃんやるなぁ…』


聖剣アレンはユイの可憐な戦いに関心する。

しかし一方のユズルは…。


「ハァハァ…なんか…悔しい…」

「サッド(悲しい)、泣かないで…」


地面に足を落とし嘆くユズルを気遣うユイ。

そんな二人を遠くから眺めて笑う女性が現れる。


「ハハハハハ!メェンがウィメンに守られるなんてざまあないね!!」


「あそこで笑うのは!」


ユイは東上の方向に目を向ける。

そこにはユイにそっくりな、ピンク髪に黒いボンテージ姿のYUIがいた。


彼女は坂丸の上司のユイ先輩、または数多くのクローンの中でも唯一反則に見染められたYUIだった。


「ユイさんが…二人?」


ユズルとアレンは瓜二つな二人を見比べる。

違うのは服装くらいで顔とかは全く同じである。


そのYUIは二階から可憐に飛び降りる。


ユイはユズル達を守るようにハリセンを構えてYUIと対峙する。


「ヘイYUI、ユーの戦いはクールだったわ、でもユーはミーには勝てない!」


「そんなの、やってみないとわからないでしょう!?」


一方の私服姿のYUI(以降ユイ)は否定しながらも目の前のボンテージ姿のYUI(以降YUI)に戦慄を覚える。


「ミーはご主人様に見染められた、バット(だが)ユーは蚊帳の外♪」


見せつけんばかりのボンテージを着こなしたYUIがユイに微笑を浮かべながら近づき、ユイが慄き後ずさる。


気迫的にYUIに押されているようである。


「ユイさん!」


ユズルは剣を構えてユイを救いに行くがYUIがハリセンを勢いよく振り、そこから炎を発して行く手を阻んだ。


「ひいっ!」


目の前の炎に熱気を覚え、ユズルは尻餅をついてしまう。


「弱者は引っ込んでな!!」


YUIはハリセンを突き出したまま吼えた。


ユイはギュッとハリセンを握りしめ、眉間にしわを寄せた。


「ホワイ?やるのかい?」


低く小さい声ながらもドスの効いた声で脅しをかけるYUI。


「シャラップ(なめないでよね)!!」


ユイはハリセンを振るいYUIに攻撃を仕掛ける。


ブォン!


ユイのハリセン攻撃をしなやかな動きで避けるYUI。


「シット!シット!シット!」


ユイはYUIに一撃でもダメージを与えようと連続攻撃を浴びせるがYUIにはかすりもしない。


『すごいしなやかな動きやなあ、あの子まるでバレエでもしよるみたいにユイはんの攻撃避けよるで』


アレンは関心するが「そんな事言ってる場合?ユイさんが危ないよ!」


とユズルは慌てるがユズルにはどうする事も出来ない。


「ハリセン攻撃てのはこうするんだよ!」


「キャア!!」


YUIのハリセンの鋭い突きがユイに炸裂。

ユイはYUIの攻撃に避ける事も出来ず、一撃で後方に倒れた。


「ユイさん!畜生、僕にもう少し勇気と力があったら…」


ユズルは自分の不甲斐なさに嘆く。


「ハハハ!この小娘のスクラップ(調理)されるとこよく見てなさい!」


YUIはユイの顔を足で踏みつけ、笑う。



『ううむ、流石に女の子が女の子同士で醜い争いしよんは見てられんな、よおし!』



すると聖剣が光だし、剣の中?から「とりゃーーーー!!」と威勢の良い声がした。


そして剣の中から現れたその光は、バンダナを巻いたツーブロック茶髪のハンサムな男(自称)となり、ユイを足で踏んづけていじめているYUIを突き倒す。


ドサッ!


「キャア!ホワイ!?」


勢いよく飛びつかれ、驚き悲鳴をあげるYUI。


「アレンさん!?」


必死に男性を押しのけようとするYUIの両手を掴み間近くで獣が獲物を狙うような目で見るハンサムな男アレン。


「シット!ミーと戦うつもり!?」


必死に抵抗するがやはり女性の腕力では押し倒した筋骨隆々なアレンを振りほどくのは全くの無意味だった。


「なあに、メェンがウィメン相手に戦うなんて野暮な事はいたしまへんで♪」


アレンはハンサムな微笑を浮かべる。


ぞくっ!


YUIは背筋に寒気を覚える。

そして顔を近づけてぶちゅうううぅっっと音を鳴らし、YUIをノックアウトさせた。


ユズルはそれを見て興奮するがユイは(エグッ)と嫌悪感を覚えた。


アレンは若くてハンサムだが女性へのデリカシーがなく同じ男神のジェイスと違いモテなかった。

しかし今のは女の子満足させたと言う気になりドヤ顔になっている。


「どやユズル、オメコにはこうやるんや!」

「さ、参考になります!」

「シャラップ!せんでいい!!」


鼻の下垂らして喜ぶユズルにアレンは得意げになるがユイはそんな変態な男二人組にハリセンで突っ込んだ。


「ほなけど現代いまの空気は合わんのか数分おるだけで疲れたわ、わいは聖剣に戻らせてもらうで!」


アレンは再び聖剣に戻る。

そしてユズル達は本拠地に乗り込む!

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