愛した人はニート


ーーー


「ワァイ♪ゴ褒美ダァ」



異締財閥の実の家、非常に豪勢な作りの館で何人もの従者まで従えている。


そしてその息子も幾多の女性をはべらせ、警官と言うスキルも得てそして超美形。


ここまで高スペックハイスキルを手に入れている男こそ坂丸のライバルとして君臨していた異締反則である。



「全くこの男も馬鹿な男だ、我が息子に敵うと思っていたのか?」


そう言いながら譲との戦闘で精神を崩壊したのをいい事に坂丸を従えているのは反則の父親であり社長、異締仕葉いじめしよう

彼はその名の通りドSでおまけにゲイだった。



「しかしこれで反則のライバルはいなくなったわけだ、これからは自由に研究できるな♪」



仕葉は坂丸に棒を咥えさせながら視線を反則に向けた。


反則の周りには数人の若い美女が反則に甘えている。


「しかし父さんも趣味が悪い、何故若い女性よりそのような男を抱くのです?おまけにこの男精神崩壊まで起こしていますよ?」



反則はグラスにいれられたワインをくるりと回しながら仕葉に問う。


「だからこそ従順で良いではないか、こうして堕ちた若者を散々なぶって突き落とすのもまた一興!」



そう言って仕葉は坂丸に白弾を撃ち込む。


「さあ、たっぷり飲め、残したら許さんぞ!」


坂丸の髪を鷲掴みにして父親は無抵抗状態の坂丸を詰る。



「あはは♪本当に美味しそうに飲んでら!父さんのいじめ技術は凄いね!」



反則もやはりドSで、見世物のように仕葉が坂丸を調教しているのを楽しんで見ていた。


「そう言うてやるな、坂丸君も気が触れてさえしなければこんなじじい相手にすらしなかったろう」


白弾を出した後は悟った表情になりうっすらと汗をかきながらも爽やかに謙遜する。


「まあ父さんも昔はブイブイ言わせていたのは僕も知っていますからね、あれだけ美女を襲ったらたまには同性も襲いたくなるんでしょうかね?」



「まあ、そう言う事だな、残念ながら妻は死んでしまったが、代わりはいくらでもいる」


さすが根っからのいじめっ子は言う事も違う。

そうした者が金持ちとなると潰そうとする者も現れるだろう。



しかしそれらをもことごとく捻り潰し、屈服させたのが異締財閥である。



だが、反則はある人物に対してだけは人間らしい感情を持っていた。



その時ドアにノックがかかる。


「ご主人様、連れてまいりました」

「やっときたか、入りたまえ」


入ってきたのは二人のメイド、その後ろに立つ人物に反則は目を大きく見開いた。



「姉さん…!」



後ろに立つ人物は、反則が「ユイ」の中でも最も愛した「ユイ」ユイ先輩だった。



「そうだ、スクラップにするところを止めた「YUI」だ、お前余程あの少女に思い入れがあるのか?」



「父さん…なんて事を…」



ユイには男性にのみつくだろう「モノ」をつけられていた。


「ふっ、彼女にも漢の良さを知ってもらいたくてな、ほら見たまえ、坂丸君もあんなに物欲しそうにしてるじゃないか♪」



坂丸はユイのモノを見てkaiを弄んでいた。

そしてユイも坂丸の棒と艶かしく誘惑している坂丸に発情を催していた。

だが反則はその状況に喜べないでいた。



(違う…こんな汚れた姉さんは見たくない!俺が愛した姉さんは…姉さんは…あんな人じゃない!)


「ほらYUI、坂丸君もあんなに物欲しそうにしているぞ、その太いモノで坂丸君をめちゃくちゃにしてくれたまえ!」


「ガルル…!」


YUIは野生獣のように涎をたらしながら坂丸に襲いかかった。

坂丸もそれを受け入れようと的を開いていた。



「やめろ!!」


勝手に体が飛び出した。

反則はYUIに抱きつき、その瞬間に深く口づけをした。

そしてYUIを押し倒す。



「ハハハ!そんなに焦らずともYUIはお前にも抱かせてやるよ!」


仕葉は貶すように笑い出す。



違う…姉さんにはこんな汚れたやり方ではなく…、もっと人間らしいあり方で、女の子として…喜ばせてあげたいんだ!!



反則はYUIには人間らしい愛情を持つ少女としていて欲しかった。



かの反則が愛したあのユイと言う少女のように…。

YUIを襲う反則の瞳からは大粒の涙が溢れ落ちていた。



ーーーー



海岸を歩く反則とユイ。



「…ご主人様…」


ユイが反則に聞く。


「その呼び方はやめてくれ!」



反則はユイの細い両腕をガシリと掴む。


「姉さん…俺の1番よく知っている姉さんに戻ってくれ…姉さんは…とても正義感が強くて優しいお人だったはずだ!」



反則はユイに必死に語りかけた。

反則のかつて会った在りし日のユイでいて欲しかった。



ーーーー


それは反則がまだ中学生の時だった。

その時の反則は親から厳しい社会を叩きつけられておらず、まだ無邪気でいじめを知らない無垢な少年だった。

反則はいつも通り学校へ向かうが、そこで怪しげな不良達に出会う。

その中の中心人物は金髪でショートボブ、右の髪には髪留めをつけられていた。

美人の部類には入るが目つきは悪かった。


いじめっ子であるのが雰囲気でわかった。

その金髪の女子が反則に近づいてきた。



「なぁアタイら金切らしてんだ、あんた坊ちゃんだろ?一万円くらい貸してくんねーかな?」



睨みを効かせて無心を迫るその女子に恐怖する反則。


その時の金髪の後ろからハリセンがパーンと飛んできた。



「ヘイミサりん!弱い子からマネー無心しちゃ駄目でしょ!マネーはユアセルフ(自分)で稼ぎなさい!!」


そこに現れたのは背は低めだが可愛らしい顔立ちのピンク髪の少女、手にはハリセンが力強く握られていた。


「なんだユイてめえいつも邪魔しやがって!!」


ミサと呼ばれた女子は食ってかかろうとするが


「ここで騒ぎ起こされたらマズイよ!」


と言い皆でその場を去っていった。



「ふにゅうぅ…」


そのハリセン少女も内心では怖かったのか、力なく地面に膝をついていた。


「あの…お姉さん…」


反則が気恥ずかしそうにしながらユイに話しかける。

ユイは反則に優しい笑顔を見せる。


「ユー、大丈夫だった?」


地面に膝をついたまま反則少年に気遣うユイ。


「は…はい、僕は無事ですけど…」


「そう、ならノープロブレムだね♪よいしょっと」


ユイは立ち上がりスカートの周りについた埃をパンパンと手ではたく。


「お姉さん、どうして見ず知らずのぼくを?」


「人を助けるのにアナザーも何も無いよ!」


ユイは優しくも、力強い目線を反則に向けて答えた。


「ボーイ、少しでも曲がった人がいたら誰かがそれを正さなきゃいけないんだ!」


ユイの一つ一つの言葉には熱意が込められていた。

読者の人気を独り占めしてしまうのも当然だ。


「その曲がった人も必ず天罰は下る、そうなったら誰も助けに来てくれなくて、その人も苦しむ事になる、そうなる前に、誰かがその人を正さなきゃいけないんだ!」


「お姉さん…」


反則はユイの一言一言を重く胸に焼き付けた。

しかし人は上手くいかないものだ。

俺は彼女のようになろうと思い、それを行うまでは良かった。


だが上手く行かず、俺は悩んでしまった。


高校に入学したある日、それが出来てしまっている奴に出会った。

そいつは立波譲という男だった。

お前にユイ姉さんの何がわかるんだと言う気持ちになってしまう俺がいた。



家族からのプレッシャーが強くなるにつれ俺は捻くれ、初めは一発坂丸を狙いに定めた。


しかし譲と言う奴に止められた。

俺はユイ姉さんの真似しやがってと言う気になってしまっていた。


しかし、何故俺はこうもなってしまったのか。

本当のユイ姉さんには合わせる顔が無い。

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