死闘

「「うおおおぉ!!!」」



互いに本気をぶつける坂丸と譲。

一度目では全く歯が立たなかったが今はユイ先輩もいる!

今の俺はもう何も怖くない!!



俺はハリセンからユイ先輩の記憶を読み込む事が出来ていた。

ハリセンを使った戦術。

俺はハリセンを刀剣のように操る。


しかしそれでも譲のパワーは高校時代から衰えておらず、おまけに凄みもついてちょっとひるめば俺の負けは目に見えていた。


だが今度の俺は負けるわけには行かない!

ユイ先輩からもらったこの力を無駄にしない為にも!



譲!お前を改心させてみせる!



「りゃああぁ!!」



俺は譲を少なくとも押していく手応えを感じた。

この勝負、行けるかも知れない!



「前回と比べて少し動きはマシになったか?だがまだまだだ!」



「くそっハッタリを!!」



互いに本気を出し合う俺と譲。



その時、俺の身体が宙に浮いているのを少なくとも感じた。


え?譲がいつのまにかあんなに離れて…!



!!!



ドアオォン!!



俺はいつのまにか距離を離されていたかと思うとすぐそこの壁にぶつかっていたようで、背中に衝撃を覚えた。

しかし、ユイ先輩の護符のおかげか、さほどのダメージは負っていないようだった。



ただ、壁に穴が空いていて後で修理とか大変そうだ。


間髪入れずに譲が攻撃を仕掛けてくる。

ハリセンを持っててもこんなに押されるとは!

しかし俺は負けてられない!



俺はハリセンに力を込めて譲に突き出した。

俺のハリセンの先と譲の拳がぶつかり合う。



「俺は負けない!」



俺は更に力をハリセンに込めて譲を突き倒そうとした。



「負けるもんかー!!」


「ちいっ!」


譲は少し体勢を崩すが、突き倒すと言う所まではいかなかったようだ。



しかし何度も攻撃すれば譲を倒す事が出来るかもしれない!



「うおおおぉ!!」


俺は譲を押そうと何度も何度もハリセンを譲に振るった。


「ガシっ!」



!!



俺の攻撃が受け止められた?



「効かねえなぁ」


譲の不敵な顔、俺のユイ先輩から貰ったハリセン武術も譲にはビクともしていないようだった。



「今度は俺のターンだ!!」



譲は俺にパンチを浴びせた。

俺は向こうの壁にぶつかる。



譲はそれでも攻撃を辞めず、殺気を沸き立たせて俺をフルボッコにしてきた。



くそっ、だめだ…やっぱり俺には譲を倒す事が出来ない…ユイ先輩…ごめん…よ…。



そんな時、


「シャラーップ!!」


と甲高い声が聞こえてきた。


『ユイ先輩!』



俺は頭上でユイ先輩の亡霊を見た。



『全くどこぞの誰かみたいにぐだぐださせやがって!しょうがないからスペシャルな技を伝授してやるよ!名付けてハリセン拳だ!』



『ハリセン拳!?』



『ハリセン拳とは自分の戦闘能力を底上げする技だ、しかしユーズする時は気をつけろ!ユーズし過ぎるとユーの体力と精神はブレイクしてしまう』



ああかのアニメの技みたいなやつね…。

そして俺の脳裏にハリセン拳の技がインプットされる。



『早く戦闘を終わらせろ!ミーも向こうの小説で早く登場したい!』



『な、何のこと言ってるかわかりませんが助かりました、技、大切に使わせていただきます!』



そしてユイ先輩は姿を消した。


「ハリセン拳!!」



現実にかえった俺はユイ先輩から先程貰った技を放った。

成る程自分で自分が強くなっていくのを感じる。



わかりやすく言えば麻薬を打っているような…。

いやそれはヤバイ表現か…。


とにかく俺はハリセン拳を使った途端パワーがみなぎってくるような感じを覚えた。



俺は瞬時に拳を突き出す。

その拳は同時に突き出した譲の拳に命中し、

そこを中心に衝撃波が走る。



互いに人間離れしたエネルギーとエネルギーがぶつかって空気中に爆発が起こった。



チュドーン!!



譲の家、その周囲は損壊され、人々は逃げ惑う。

近所に迷惑どころか、テロを起こしているようだが実際は譲を更生させようと譲の強さに対抗しているに過ぎない。


これは騒動が大きくなる前に早く終わらせないと…。



譲の家や周囲は跡形もなくなる。

ここはもはや俺と譲のバトルフィールドだった。


「貴様…どこからそんなパワーを…!?」



流石の譲も驚いていた。

俺も俺自身が怖い。

だって今や俺は譲以上の戦闘力を身につけているからな。



「俺は地獄からでも何度でも蘇り、その度に強くなってきた!譲の悪運もここまでなり!!」



俺はハリセン拳で身体を強化させながら譲に先制攻撃を仕掛けた。



ドカドカドカ!!


動きがさっきまでと違う!

ハリセン拳で強化された俺には敵はいなかった!



一方で、譲の動きはまるでナメックのようだ!



「トドメだ!!」



俺は最後の一撃を譲に浴びせた。


吹き飛ぶ身体。


力任せの渾身の一撃で放たれたアッパーカット。

対象者はその攻撃をもろに受け、放り投げられた人形のように空中を舞った。



「がはっ!そ、そんな馬鹿な…」



対象者は痛む身体を抑えながらゆっくりと起き上がる。



「馬鹿め、俺はお前を相手にしてると思って実力の半分の力しか出してないんだよ!」



笑う 対象者。

実力の半分…これで…!?



因みに仁王立ちして笑っている方は譲。

相手の強さにおののき戸惑っている方が坂丸である。

なんと譲は実力の半分の力も出していなかったのだ!


くそっ、こうなったら重ねてハリセン拳を使うか?いやこうしたら体も心もぶっ壊れるとユイ先輩はおっしゃった…


譲は面白がるように俺をフルボッコにしてくる。

他になすすべの無い俺は譲の攻撃をガードする。


しかし譲は俺のガードから外し急所と言う急所に確実に俺をタコ殴りにする。


だ、駄目だ!

このままでは俺はこいつに殺されちまう!


やはり出し惜しみしていると譲から命を取られるのも時間の問題!



ハリセン拳2倍、使うしかない!



「ハリセン拳2倍!!」


俺の身体が真っ赤に燃え上がる。

ハリセン拳2倍により筋肉が増強されて服が破ける。

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