紫陽花と雨の日

 好きな花のひとつに紫陽花あじさいがあります。

 紫陽花あじさいにも色々ありますが、わたしは濃いめの青紫色が好き。


 雨の日の外出はちょっぴり気が重いものですが、雨に濡れている青紫色の紫陽花を見ると、まるで水彩画を見ているような気持ちになって、ぼーっと見蕩れてしまうのです。


 気持ちが晴れ晴れとするというのとは、ちょっと違う。切ないような寂しいような気持ちなんだけど、ひっそりと・・・でも確かに存在している感じで。



 紫陽花あじさいは儚げな花というのとは違う気がします。

 けれど雨に濡れる紫陽花あじさいというのは、一層、色鮮やかになっているのに、何故だか滲んでいるようにも見えて、不思議です。



 雨の中にたたずむ、寂しげな美しい女性ひと

 濡れてはいるのだけれど涙は流してない。

 涙は流していないのに、

 ” ああ、このひとは泣いているのだ ”

 と、わかる。

 その横顔は空を見つめている。


 雨の日の紫陽花あじさいは、わたしにそんな幻想をみせてくれます。

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