てるてる坊主と青い傘

 空色の無地の雨傘はわたしのお気に入りで、持ち手にはてるてる坊主のシールを貼っていました。

 この傘を差すと、雨の中を歩いていても、まるでわたしだけの青空を持っているようで気持ちが明るくなるのでした。


 持って出た時には必ず忘れないように手元を確認していたのですが、ある雨の日にコンビニに立ち寄った時、外の傘立てに入れていた傘がほんの数分の間になくなってしまいました。


 諦めきれないわたしは雨の中を探しました。


 似たような青い傘を持っている人を見ても違う傘かもしれないから、そうそう声もかけられない。

 もしかして間違えて持っていってしまったのかもしれないし(とはいえ傘立てに残っていた傘に似た傘はなかったのですけど)

 でも、それほど大切な傘だったから。


 でも悲しいかな、結局、空色の傘は見つかりませんでした。


 たかが傘かもしれないけど。


 もし、あの傘を持っていった人に伝えられるなら、簡単に捨てたりせずに使って欲しいなって思います。


 あの傘は元気になれる傘なので。

 ニッコリてるてる坊主のシールがきっと、あなたの涙雨を止ませてくれるから。


 だから、ね。


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