第6話

 1……2…3,4,5秒が経過した。

 安恵は混乱していた。ありえないくらい混乱していた。

 

 喉が渇いてタバコもキレた。だから目に入ったコンビニに入った。

 気怠い店員の声が聞こえた。声の主は高梨君だった。

 高梨君の顔を見た。瞬間。自分は高梨君がめちゃくちゃ好きだと気づいた。


 そしたら告白をしていた。


 混乱していた。本当にいまだかつて無い位に混乱していた。びっくりしていた、自分に対して。


 どーしよ、どーしよ、どーーーしよ!!とぐるぐるぐるぐるその言葉が頭の中でリフレインしていた。


「……………はい??」


 高梨君が怪訝な顔で安恵を見た。そりゃそうだと思った。

 

 しかし、安恵はその言葉を瞬時に返せなかった。


 今の言い間違いだと通じるのか?いやあんなハッキリした言葉だし。人間違いだったと通じるのか?いやそれをしたところでどうするのか?どっちにしても変なヤツじゃないか。ぐるぐるぐるぐる。どんどん混乱していく。


 あーーーー終わった。私の人生最大の恋が。片想いが。こんなカタチで終わってしまった。もしかしたら職場での私の立場も?それはまぁどうでもいいのだが、もはや。


 終わった。ゲームセット。はい!もうおしまい!!さよーならぁあ!!バーーイ!!


 終わった。


 終わっちゃった。


 ……………これで終わりかぁ…………


 ………………………………………………………………………これで終わり?


 ……………………………………………………………………これで………………………………………………………………………終わり…………………………


 絶対にイヤ!!!!!!!!!  


 こんなんで終わるのはイヤ!!!こんなんで高梨君を好きなの終わっちゃうのはマジでやだ。


 コンビニには、高梨君と安恵しかいなかった。


 高梨君は相変わらず不審な目で安恵を見ていた。


 「せ……………」安恵がやっと声を発しようとするが、自分の声が震えてるのが分かった。

 

 弾丸を込めろ!!!!!終わっちゃうぞ!!!!!終わるのはコレを放ってから!!!!そうしないと私は後悔するぞ!!!!言え!!!!言え、言え言え!!!!!!




「せっ………脊髄アイスピック」


「えっ?」


 高梨君は目を見開く。表情は驚き。それが露骨にに出ていた。

 安恵は俯いてたが目線を高梨君に向ける。

 そして、やはりケンタロスは高梨だったと確信する。


「私………なんです………。脊髄アイスピック」


 安恵のネットでのペンネーム──脊髄アイスピック。


「私、あなたのことがめちゃくちゃ好きになっちゃたんです。高梨君………ケンタロスさん」



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