第27話 産業医との戦い

救急車で運ばれた日、朝から主治医の診察。


先生は明らかに動揺していた。


先生

「すまなかった!」


??何故また謝る??


先生

「これは君に出してはいけない薬だったんだ」


!!は!! 思い出した!

この睡眠薬、ここに受診しだしてすぐに一度処方して貰っていたのだ。


その時も1度だけ飲んだが、次の日の朝、7時過ぎに目が覚めた時点で体がふらっふらの、泥酔状態みたいになったから、これは私には強すぎるから処方しないで欲しいと伝えていた、あの薬だった。


先生

「これはそんなに強く無いんだかなぁ…」

「そんなに薬の耐性が弱いのか」

ボソボソ言っている。


はぁ、またかよ…やぶ医者かよ…


また睡眠薬が変わった。


会計の待ち合い中、復職支援プログラムの数人と、職員に会ってしまった。

急にプログラムに来なくなったのに、居合わせた事に皆驚いていた。

寝間着姿、髭ぼうぼう、訳を説明したが恥ずかしがった…


休職9ヶ月も過ぎようかという頃、会社から電話があった。

担当のEさんだ。


Eさん

「最近連絡無いけど、どうかされました?」


私は躁転や救急車の件等、事情を話した。


Eさんはとても驚いていた、「それって入院とか必要じゃないの?」とか「本当は双極性障害じゃないの?」とか聞いてきた。

 

「分からないです。あと不眠が酷いです」


Eさん

「じゃあ今は復職支援プログラムも中断してるのね。もう少し療養したら、面談したいんだけど?何日はどう?」


「はい、大丈夫だと思います」


休職満了まであと2ヶ月ちょっと、Eさんも焦りがあるのか。


通院日だ、ちょっと作戦に出た。


「先生、私は部署移動を希望したいんですが、先生はどう思われますか?」


先生

「移動?そうだな…俺はいいと思うぞ、今は○○部署だったな、今より簡単な仕事は沢山あると思うしな」


「でもお願いした所で、無理でしょう?」


先生

「よし、意見書を書いてやろう。私の見解を書いて、私からもお願いしてやろう」


おぉ!やった。

なんだか先生は、私に色々ミスをした事に少し申し訳無い気持ちがあるのか、そんな感じにみえた。


そのままカウンセリングを受ける。


カウンセラーの先生も部署移動には賛成してくれた。


希望の光が見えてきた。


産業医の面談の日が来た。


その日はいつものEさんと、見馴れないおばさんがいた。

この人、また別の精神科の病院の先生みたいだ。週1回来てるらしい。T先生と呼ぼう。


ガンガン質問してくる、そして返事に少しでも矛盾があればそこを突く、こちらの目を下から視ながらメモし、またガンガン来る。

休職中の人にはキツいんじゃないか?


T先生

「眠れないらしいけど、どうするつもり?」


こっちが聞きたいわ…


「分かりません、主治医の先生は眠材の変更に消極的なので…時間が経てば寝れるかなと…」


T先生

「本当にそれで寝れるようになるの?」


知るかよ…


「主治医に睡眠薬を強いのに変えて貰うよう頼んでみます、また救急車かもしれませんが」


T先生

「そうね、リスクはあるけど、もうあんまりゆっくりできないから」


やっとT先生の診察が終わった。


担当のEさんと2社面談が始まった。


Eさん

「どうでした?あの先生?言い方はキツいけど、腕は確かな先生よ」


「はい、まあ大丈夫でした」


そこで持ってきていた主治医の意見書を出す。


Eさんは普通に読んだ。最中、反応が薄い。


Eさん

「一応見せるけど、あくまで意見書だから、何処まで効力があるか分からないわよ」


「でも、私からもお願いしておくね」


「宜しくお願いします」


次の通院日だ。

もう休職11ヶ月になる。


「先生、会社の面談で睡眠薬を強くしてでも、眠れる様にしなさいと言われました」


先生

「う~ん……強い薬は出せないなぁ、リスクが高い…救急車の件もあるしなぁ…もう少し様子見しよう!」


相当救急車が怖いらしい、2度同じ様な事があればマズイのか?


カウンセラーの面談

カウンセラーは復職支援プログラムにまた参加する様促してきた。


しかし、私は不眠を理由に断った。


会社面談の日がやって来た。


面談、面談世話しい…


T先生に、主治医と話した事を伝える。


T先生

「あのねえ…で、結局、眠れるようになったの?もう薬でどうにかしないと、復職期限に間に合わないわよ」


「そうですよね…はい…また相談します、今度はもっと強く言ってみます」


通院日。


「先生、結局まだ不眠状態です。会社からも強く言われました、強い薬を試して下さい」


先生は頭を抱える


先生

「よし、じゃあこれを試そう、睡眠薬じゃいが、効くかもしれない」

「ただし、血中濃度の管理が必要な薬だ」


そう言われ、処方されたのが

炭酸リチウム錠(リーマスの後薬)だ。


これが、少し効いた気がした


産業医面談だ


T先生

「どうでした?」


「炭酸リチウム錠を処方して貰う事になりました。少し効いた気がして、若干眠りが改善した気がします」


T先生はうんうんとうなずいた、まるでそれを待っていたかの様だ


T先生

「良かったわね、じゃあ、それを服用して、復職支援プログラムにも参加しなさい」


…あの復職支援プログラムかぁ…
















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