第22話 復職支援プログラム②

プログラムに通いだして数日、新たな人が入ってきた。Aさんとしよう。

ほんのちょっと先輩の私、その人が何か困っていたら教えてやろうと思っていた。


何故ならそのプログラム、しおりというか、スケジュールや決まり事がB4用紙1枚に書かれているだけで、初めはどうしていいか分からなかったからである。


朝は急に皆居なくなるし…診察だったけど


今日、半日居るのか1日居るのかで記入する紙が違ったり


困った事が多かったのを覚えている。


…やはりAさんも診察を分かっていない、ただ座っている。


一緒に来る様に伝える。


診察の待ち合い中、何故だか忘れたが会社の話になった。……あれ?

「??失礼ですがもしかして○○社の方ですか?」


Aさん「そうです」


驚いた!同じ会社の人だった。


その日、プログラムに1日参加するのは私と、かなり太った30代の男性の2人だけだった。Bさんとしよう。

他の参加者は半日で帰っていった。


昼休みは1時間半、長い…暇なので話しかけてみる。


すると、気さくに色々喋ってくれた。

一番驚いたのは、なんと1年半このプログラムに通っているらしい事だ。


昼休みはずっと話をした。


休職の悩みを言ってみても、まあ気楽にいきましょう。とか、あんまり悩む事ないですよ。

といった感じだ、超楽観主義者なのか?


午後は自習だった。

私は本を読むのが苦手だった為、時間潰しに苦慮していた。

そんな中、Bさんは聖書を読んでいた。


私「キリスト教なんですか?」


Bさん

「ああ、これね、いや、本は色んな種類、あらかた読んだから、今はこれ、面白いよ」


はは…ありえない…


Bさんからさらに教えて貰った。


「今ここに通ってる人の半分位は、あなたと同じA社の人だよ」


えぇ~!!!


嬉しいような悲しいような、いや、私と同じ境遇の人が沢山居る事を初めて知ってビックリした。


プログラムに通いだしてから2週間程経つと、ほぼ皆顔見知りになった。


女性も数人いたが話すと割りと気さくに喋ってくれる。


なにより、今まで家族はいたものの、病気や休職に関しては理解してくれる人はいなかったのでそういった内容を話すと共感してくれる。


同じ境遇の人とは馬が合った。

真面目で控え目、自己主張をあまりしない、そんな人達の集まりだった。


正直、プログラムが少し楽しくなっていた。


また2週間に1度の通院日だ


先生

「どうだ、調子は?」


私「なんか少し元気になってきた気がします」

…初めてだった、そう、自然に答えた…


先生

「お!そうかぁ、いい傾向だ、減薬しよう」


処方箋

サインバルタ 30mg

睡眠薬


初めて減った、抗うつ薬(サインバルタ)の量が半分になった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る