第9話 限界

私は自分を責めていた。

このD班に入った当初、リーダーと方針や役割といった事をキチンと話しておかなかった事に。

人間関係に関して今までの人生で悩んだ事はあまりなかった。


休み明け、またやらかしてしまう。


係長に何度謝罪に行っただろう。

その時のミスは何故か記憶に無い。

しかし、重大ミスであったのは間違いない。

今回のミスは規則の変更が必要となった。

もちろん担当は当事者の「私」


次の日、また分からないトラブルに対応しようと装置に向かったが、珍しくリーダーが話しかけてきた。


「こういった装置トラブルは対応しないで欲しい」


「………………………………………」


訳が分からなくなった。


当日夜勤で人が少なかった。


その後私は詰所の椅子から立ち上がれなかった。時間にして1時間位。


詰所にリーダーがやってきた。


来るやいなや持っていた工具を台に叩きつけ、私の隣の椅子を思いっきり蹴り倒してきた。


「ガン!!ガッシャーン!!!」


「何座っとるんですか!?」

「!?!?!!!!!!!」

内容は忘れたが罵声を浴びせてきた。


私「何をしていいか分かりません…」


リーダー「もういいです!」


…去っていった、おそらく最後の会話だった。


あと1時間で引き継ぎだった、私は動けなかった。とてつもなく長く感じた。


「もう限界だ…」


帰って妻に弱音を吐いた、初めてだった。


「会社を辞める事にする」


近くに住んでいる両親にも話し、会社に電話した。係長だ。

退職の言葉に返答を悩んでいる様だった。

 

D班に配属になり約3ヶ月、A社に入社して約10ヶ月…


完全に自暴自棄になっていた…






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