第8話 対峙、そして負の連鎖

このままではまずい…


思いきって面と向かって聞く事にした。

リーダーと2人、タイミングを見て。


部品庫に着いていき、聞いた。


「私はどうすれば良いんですか?」


リーダー

「あなたは卑怯だ、簡単なトラブル処置しかしようとしない、優先度があるでしょう、それに従って対応して下さい。

分からないトラブルに一生懸命一人でも対応してこそ、一人前になるんじゃないですか?

そこをしない限り、私は教えたりしません!」


…正論だ、確かにそうだ

「すみません、その通りです、今後は優先度を守って、分からない様なトラブルも対応します」


…保身に入ってたのかもしれない、分からない時に教えを乞うのを嫌っていたのは事実だ。


その日から、その通り、いや、分からないトラブルこそ率先して対応する事にした。


8割を占めるA社内製装置、警戒していたが牙を向く、ほとんどの場合、分からないトラブルはやはり一人では分からない。


リーダーに教えを乞う、私は面と向かって話した後からリーダーは少し教育してくれるんじゃないかと期待していた。


「そのまんましておいて下さい」


…待つ


来たらノート片手に「一緒に対処するぞ」

意気込むが…


舌打ち…物凄い早さで処理していく…


終わると、オペレーターに伝えて去っていく。


これはマシな方で、大抵は電話で

「後回しにして下さい」とか

「~じゃないんですかぁ」とか


来てもくれない…


私は、ヤバい、どうにかしないと…

と焦り、色んな事を試す。


依頼から数時間達つ頃にはオペレーターに

「あと何時間位掛かります?」


すみません、まだ分かりません…


結局、分からず、次の班が来て残業して一緒に直して貰う。15分位で終わる。


次の日はまた分からないトラブルに手こずる。


ん、原因はこれじゃないか?


リーダーに聞いてみる。


「何を言ってるんですか?」


私「いやここがこうでああだから…」


「あなたがそう思うならそれでいいんじゃないですか」


そ、そうですか…

結果的には間違っていた、しかも話を他部門の品質のせいにしてしまった…


次の日、とばっちりを食った他部門から始末書を要求される。

それに丸2日かかった…


また次の日はトラブル対処中に装置の内部を他のユニットとぶつけてしまった。

これにも1日かかった…


その次の日は「バグ」なのだが、ある操作をしたらデータが消えてしまった。

それをリーダーに説明したが信じて貰えず、リーダーはバックアップデータで同じ作業をするとやはりデータが消えてしまった。

バックアップすら無くなる非常事態、犯人は「私…」


この頃はほぼ毎日、何かをやらかす様になっていたと思う。


かなり危機感があった、休みの日も会社に行って現場に入り、教えを乞った。

それもすぐに駄目になる。残業80時間迄だからだ。

こうなると本当は絶対駄目である、パソコンの持ち帰りを始める。休日、家で装置の勉強である。


休み明け、また分からないトラブルに対応する。

直せる場合もあるが、三分のニは直せないもしくは悪化させる、最悪の場合、壊す。

その後の後始末に苦慮する。


こんな状態が1ヶ月近く続いた…












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る