雷がもたらした特別 ( 1 )
生きることに柔軟で知ることに従順な彼女は、その内側に、目に見える全てのことに興味を持つ性質を持っていた。世界は鮮やかだと言わんばかりに生きる彼女の姿は、人の目に
知らない感情に触れるたびに心をときめかせるものの、時々よくわからない感覚に
天音は、他人がどんな世界を見つめて生きているのか、興味に
彼女に出会う者はそんな彼女に惹かれて、彼女への興味が尽きない。そういう魅力を天音は持っている。
単純だったり複雑だったりする彼女の言動には
自分と他人はどんなに似ていても違う。だから人は興味深い。
どうしてそんな風に自分が感じるのかを彼女は知らなければ、考えたこともない。それは考えたところで、知ることは出来ないだろう。しかし、思い出してほしいと願って彼女を待っている者は
天音は高校一年の春から一人暮らしを始めるまで、母と二人きりで暮らして来た。母と二人きりであること、家のどこにもそれ以外の家族の
天音は父親の顔も名前も知らなければ、生きているのか死んでいるのかさえ知らない。
小学生の頃に一応聞いてみたことがあるが、花純は高笑いで「小さいことを気にしていたら
「お父さんが欲しいの? 考えておいてあげる」
いつだかそう言った花純は、天音が高校生になる年に、彼女の全く知らない男性と結婚し、海外へと行ってしまった。
天音は母らしいなと感じ、その時はまだ会うことが叶わなかった新しい家族との出会いに心を躍らせた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます