19話 疼き

「俺、好きな人がいるんだ」

 そう打ち明けられたのは翌日の夜。

「えっ、そうなの?」

 誰だろうと気になったので、訊いてみようと思ったがあたしの知り合いだったら嫌だなと思ったので訊かなかった。

「そうなんだ」

 特別ショックを受けたわけではないが、でも何だか気になる。あたしが彼のことを好きになっていた? 本当に? 有馬亮がゲイだということは知っていた。いずれは両想いになれればいいなぁと思っていただけに、少なからずショックは受けているのかもしれない。

 それと同時に何だか悔しい。いきなりフラれた気がして。

 あたしは三浦加奈。バイセクシャル。もう一人男友達がいる。それは山宮剛輝という名であたしが勤務する病院の患者。このことを打ち明けてみようかな。でも、調子はどうなのだろう。もし、調子悪かったら控えないといけない。とりあえず後でLINEを送ってみよう。

 今は夜勤中で休憩している。ちなみに夜中の1時を回ったところ。この時間帯にLINEを送って起こしたら可哀相だから。それにしても有馬亮君の身体はごつくていい。一度抱かれてみたい。そう思うと、あたしは身体が熱くなるのを感じた。


 身体がほてるなんて久しぶり。ああ、誰かに抱かれたい。この疼きを静めたい。

 そんなことを思いながら休憩を終え、仕事を再開した。

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