第10話  変わらないもの

バーベーキュー大会が、行われた。

当たり前だが、企画はめぐみちゃんのところの旅館。


村民や、観光客などが、集まった。


朝早くから、下準備を始めている。

みんなで、一緒になって作業をしている。


こうやって、協力しあうのは、いいものだ。


特に武雄は、こきつかわれている。

さすが、海の男だな。


俺はと言うと・・・

買いだしを頼まれた。


パシリみたいだが、人と関わるよりはいいだろう。

いろいろと店を回る。

話を聞かされているのか、店員さんは気を使ってくれているようだ。

ありがたいのだが、やはり慣れない・・・


一仕事(なんぼももんじゃない)終えると、休息時間に入る。


邪魔をしては悪いので、なるべく人目につかないように、移動した。


で、夜になりバーベキュー大会が始まる。


予断だが、玉ねぎを切る時に、涙が出ないためにと、

水中メガネをかける人がいるが、これは間違い。


鼻にティシュッをつめたほうが、涙は出ない。

まあ、どうでもいいが・・・


バーベキューとなると、やはり騒がしい。

わがままは言えなくなるが・・・


「ねえ、向こうで食べよう」

「めぐみちゃん・・・」

「さあ、行こう」

めぐみちゃんに、手をつかまれる。


そして、少し離れたところにでる。


ここからは、バーベーキュー大会の様子は見れるが、

向こうからは死角になる。


「おいといていいの?」

「うん、私は君と話がしたかった」

「でも・・・」

「私のわがままなんだから、気をつかわなくてもいいよ」

その横顔は、すがすがしいものがあった。


「もうじき、帰るんだよね」

「うん、もう明日には絶とうと思う」

「そっか・・・来てよかった?」

「うん。気分転換になったよ」

少し時間が止まった。


「気付いているとは思うけど」

「うん」

「私は高校は、中退したんだ」

「うん」

「訊かないの?」

「ああ。めぐみちゃんの決めた事だからね」

「ありがとう」

めぐみちゃんが、自分で考えた結論だろう。


詮索はよくない。


「いつまでも、変わらないでいたいね」

「そうだね」


でも、人は良くも悪くも変わる。

たとえそれが、どんな結果になっても、別にいい。


人は、無意識のうちに、その時の自分にとり、最善の選択肢を選んでいる。

仮に、別の選択をしていても、今いる場所は同じだ・・・


「明日は、お見送りするからね」

「うん」


めぐみちゃんの横顔は、とてもさわやかだった・・・

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