第6話 横道から本道へ

「じゃあ、クイズね」

「クイズとは、違うと思うが・・・」

「いいの、いいの」

めぐみちゃんが、笑う。


「あの、めぐみちゃん」

「何?」

「もしノーヒントなら?」

「私をあげる」

丁重に、お断りした。


嫌いだからではない・・・


「じゃあ、ヒント1ね」

「うん」

「静かな場所が、欲しかった」

「俺と過ごすためだったりした」


めぐみちゃんは、ブーという。


「私、君が来るなんて知らなかったもん」

「だよね」

キスは、玉砕した。


「じゃあ、ヒント2ね。ある特定のお客さんが、来るためです」

「釣り人」

めぐみちゃんは、ブーという。


「たしかに、とらほらはいるけど、まだシーズンじゃなきよ」

「釣りにシーズンがあるんですか?」

「ここではね」

あっそ・・・


「じゃあ、ヒント3ね」

「はい」

「みんなで、たのしく、にぎやかに」

「めぐみちゃんち主催で、バーベキュー大会でもやる」


めぐみちゃんは、微笑んだ。


「正解」

「ほんと?」

めぐみちゃんは、頷く。


「だから、村の人の協力も得てもらってるんだよ」

「でも、観光客もいるでしょ?」

「駅にポスターがあったけど、気付かなかった?」

気づなかった。


「それに、海はここだけじゃないからね。みんな、そっちにいってる」

深く追及するのは、止めておいた。


「横道にそれたね。なら。君に授業を受けますが」

「絵の?」

「でも、俺は自己流だよ」

めぐみちゃんは、ニッコリほほ笑んで・・・


「それでいいよ」

その笑顔に救われる。


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