少年の思い


「奥様っ!いらっしゃいませっ!可愛い子ども達が、奥様を、お待ちしておりますよ〜。」


「ふふふ。ありがとうございます。院長先生。早く、可愛いらしい子たちに会いたいわ!」


院長先生は、奥様の遠い親族の男爵夫人です。


夫人のお子さん達が成人を迎えて、寂しそうにしていたところを奥様自ら声をかけ、孤児院の院長先生として、任命しました。


男爵夫人は、二男二女の母親なので、子育てに詳しく、さらに、男爵様はお優しい方なので、夫婦で孤児院の経営をされています。


「孤児院で、一番最年長の子ミオンくんとお話出来ますでしょうか?」


「はい、今、お呼びしますが、ミオンくんに、何かありましたか?」


「ミオンくんに、将来はどうするのか、本人に確かめるため、お話ししたいのです。」


「まあああ!それでしたら、ぜひ!お話しして下さいませ。こちらにお連れしますね!」


ミオンくんは、この孤児院に3歳の頃からいる最年長の少年。今は、15歳になったばかり。


元々、ミオンくんの家は、代々、商家を務めていたらしい家柄なんだそうです。





「お、奥様、お久しぶり、でございますっ!」


「お久しぶり。ミオンくん。大きくなって………お姉さん、感動しちゃうわ!」


久しぶりにお会いして、奥様は、驚きました。

日に日に成長して、今やしっかりとした青年になっていました。


でも、引っ込み思案なのは、相変わらずです。


「さっそくだけど、ミオンくん、貴方は、将来何になりたい………?」


「ぼ、ぼく、庭師さんに憧れてます!とってもかっこいいんですっ!」


「まあ!庭師見習い………なってみる?我が家の庭師は、とっても優秀な庭師さんよ。なんせ、王宮のお庭も、担当されているんですもの。」


「わああ!良いのですか?なってみたいです!奥様、ありがとうございますっ!」






「あの、奥様!お願いが、あります!ミーニャちゃんも、お願いしますっ!」


「あら、ミーニャちゃん?初めて聞く名前ね?もしかして、新入りちゃんかしら?」


「は、はい、同い年の女の子で、ぼくに懐いてくれて!とても可愛い子なんですっ!」


「まああああ!ミオンくん、分かりましたわ!その子とも、お話ししてみますね!」


ミオンくん、もしかして、その子のこと………?


ふふふ。可愛いらしい初恋を目撃したわ!っと嬉しそうに微笑む奥様。


さっそく、ミーニャちゃんという子に会う事にしました。

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