伯爵夫人の日常

ゆりあ

穏やかな朝



ちょっと離れてしまっても


光は ずっと あなたを見守っている


あなたを 暖かな慈悲の光が見守っている




どうか 光(こちら)へ戻っておいで 愛し子よ


光は あなたを責めたりしない 裁いたりしない


あなたを暖かく迎え入れてくれる あなたを抱きしめて ああ 良かった 愛し子よ と迎えてくれる






「主よ、光の神よ、いつも見守ってくださってありがとうございます。」


ひとりの少女が、礼拝堂に来て、祈っている。


その姿は美しくて、ちょうどいいタイミングで来ていた青年は、つい、じーっと見てしまう。


その視線に気付いた少女は、青年の方を向く。まるで来たのが分かったかのように。


「あなたも、お祈り、しますか?」


「うん。もちろん。君は、いつ見ても、美しいよね。ますます、君を好きになりそうだよ。」


「まあ!お、お恥ずかしいですわ!旦那様。」


「良いだろう?君は、最愛の妻なのだから。」


「ふふふ。旦那様、ありがとうございます。」


少女と青年は先月結婚したばかりの新婚さん。


20歳になったばかりの奥さんと25歳になる旦那様は、とても仲の良い夫婦です。


「ふふふ。私には、こんなに可愛いらしい妃がいて、この王国の未来は安泰だね。」


「旦那様、いえ、王弟殿下、私に出来ることをたくさん見つけて、あなたをお支えします。」


「うん。ありがとう。私もね、兄上を支えれるように頑張るから、一緒に頑張ろう。」


王弟殿下であられる年若き旦那様は、兄である国王陛下を支えるため、日々精進しています。


まだ20歳になったばかりゆえ、分からない事だらけな王弟殿下の妃は、去年まで伯爵令嬢。今は、伯爵様になられた王弟殿下の妻なので、伯爵夫人です。


色々と考えながら、旦那様をお支え出来るよう勉強しています。


「私は、本日孤児院の視察に行って参ります。可愛いらしい子たちに会えるので。」


「うん、孤児院に、将来有望そうな子がいたら我が家に引き取って構わないよ。」


「まあ!本当ですか?ありがとうございます。あの孤児院の子たちに、頑張っていれば、道は開けるのだと、教えることが出来ますねっ!」


我が家に、養子に迎え入れるのは難しくとも、見習いとして育てるのは可能です。


将来、こちらで働いても良いですし。別の道を見つけたら、支援することなら、出来ます。

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