第51話 本当の災い。その5

「ねえねえ、ペリー。」

「なに? ちいちゃん。」

「もうアナタベ、若しくは異世界音痴が独り歩きをし始めたので、構想を練らなくても1万字は勝手に書けそうだわ。」

「ということは、私たちの少年少女剣客隊を終わらせにかかればいいのね。」

「そういうこと。公開が6万字で、正確には分からないけど、もう9万字は超えてるよね。」

「なんやかんやで、頑張ったよね! 私たち! エヘッ。」

「可愛く言えばいいってもんじゃない。」

「ウラララ-!」

「どこで挫折したのか、読み返す勇気が無いわ。」

「未完成過ぎたのと、他からのクロスオーバーが完成し過ぎていたのと、徳川15将軍の設定が面倒臭すぎたのが原因かしら?」

「15人も登場させるって大変よね。」

「1巻1人なら、15巻発売できるんだけど?」

「どんだけ人気作品だよ!?」

「ウラララ-!」

「神の使徒も12人だけど大丈夫?」

「ここから学んで、神の使徒は、まだ1人しか登場させてない。フォッフォッフォッ。」

「本当に私たちの屍の上に成り立つ作品よね。」

「徳川15将軍が魑魅魍魎で、ライや蛍たちと戦うという物語を想定していたのに、変に話が膨らんでしまった。」

「そうだね。そうならないように一歩ずつだね。」

「1話1500字でも、徳川15将軍の一人の相手が片付かなかった。」

「ということは15人を書き終える頃には10万字を超えているということになってしまう。」

「逆に神の使徒は、10万字で12体の神の使徒を出す気はない。徳川15将軍のを10万字で出そうとしたのが、挫折の始まりよ。」

「そうそう。一人ずつ丁寧に殺していこう。」

「そうすれば、少年少女剣客隊も頓挫しなかった。」

「たぶん、荒く書かなければ、10万字で徳川15将軍は、3人か4人位よね。」

「ウラララ-!」


「で、徳川15将軍も甦って、封印し直したし、次はどうすればいい?」

「とりあえず、家々を倒してしまおう。」

「おお!」

「ウラララ-!」

「僕を成仏させるだと!? 出来るものならやってもらおうか?」

 遂に、ちい、ペリー、楓の3人と、家々の最終決戦が行われようとしていた。

「ストップ!」

「実朝くん!?」

 その時、源の実朝が現れる。

「朝目が覚めて神が降臨した「正確に何字か分かるまで、放置してアナタベ、若しくは異世界音痴を書いた方が楽しい。」という、神のお告げだ。」

「さすが神様。いいことを言う。」

「ということで、家々、勝負は預けた。」

「そんなバカな!? 最後まで徳川家に恥をかかせる気か!?」

「その勝負! 私が預かった!」

「桜先生!?」

 子供たちが騒いでいると、桜先生が教室にやって来た。

「これで私は忘れられないっと。」

「ちゃっかりしてますね。」

「これでも教師ですから。エヘッ。」

「どんな教師だ!?」

「それでは、皆さん、さようなら。」

「桜先生、さようなら。」

「逃げた。」

 子供たちは寺子屋から帰って行った。 


「アナタベ5話完成。涙が出てくる手前だわ。」

「順調と言っております。」

「ウラララ-!」

「やっぱりそうね。10万字完結で全てを入れると、荒い手抜き作品になってしまう。10万字途中完結でよければ、ダラダラと細かく書けるわ。」

「今までが間違っていたということか?」

「それと流行に合わせて、壮大なスケールと膨大なキャラクターを出そうとし過ぎたんだわ。」

「悪い所が理解できることも成長の証だ。」

「ウラララ-!」


「7話だ! 7話だ! 7話だ!」

「何をそんなに騒いでいるの? まるで楓みたいよ。」

「ウラララ-!」

「アナタベの初期案で書いたら、7話で書き終えたぞ。」

「それは困ったわね。また考えなくっちゃ。」

「ウラララ-!」


「ここで10万字で、神の使徒12人を出そうとすれば、急いで話を進めてしまうんだけど。それをやめて臭い世界も描いていくわ。」

「臭い世界?」

「執事とメイドよ。彼らに名前を与えるわ。有名なフルーツの名前は使用済みだから、マイナーなフルーツの名前になる。結構、いい味が出るに違いない。」

「そこまで読んでいたというのか!?」

「脚本とは、2手3手先を読んで行動するものだよ。」

「たまたまの奇跡です。ウラララ-!」

「僕の出番はまだか!?」

 家々は忘れられていた。

 つづく。

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