第50話 本当の災い。その4
「ねえねえ、ペリー。」
「何? ちいちゃん。」
「寝て起きて、アイデアの神が降臨されてお告げをされたの。」
「どんな?」
「6月にホラーコンテストもあるから「現実世界のホラーも置き換えで書いちゃいなよ」神様が言うのよ。」
「面白そう。可能であれば、1作分の原作を考える手間が省ける。」
「そうだね。ということは、ホラーの主人公も何かに食われる。そして、家族、友達を食う。しかも主人公は音痴。」
「やってみる価値はありそうね。」
「これから全て置き換えで済ませたら、どれだけ楽だろう。」
「とりあえず書いてみよう。」
「おお!」
「ウラララ-!」
「いやー!? やめて!? 助けて!? 来るな!? 来るな!? 来ないで!?」
少女は何者かに襲われそうになっていた。それはセクハラでもレイプでもない。
「私なんか食べても美味しくないわよ!? お腹を壊しても知らないからね!?」
パクッ。少女は何者かの大きく開いた口に丸飲みにされた。
「真っ暗。あ、そっか。私は食べられたんだ。アッハハハハ。」
少女は暗い何者かの口の中にいた。
「って、こんな始まり方でいいのか!?」
いいんです。
「とりあえず「あなたを食べてもいいですか?」の第1話を貼りつけた。上記は何にでも使えると思うけど、名前をジュライと七月文月と置き換えるだけで使えると思うけど、面白くはなかったので却下。」
「異世界、音痴を書き終えたら、ホラーの新しいものを書こう。」
「ホラーのアイデアは、まだないから、アナタベ、若しくは異世界音痴を創作しよう。」
「どんどん次回作の格が下がって行くような。」
「ウラララ-!」
「仮1話は1700字か。最低1500字ラインだね。」
「本当にこれ、文学部設定の物語なら成立するんだろうね。」
「惜しいね。」
「ホラーは、どうせ定番の高校舞台の文学部ホラーにしようよ。」
「すると名前は変わっても、私たちの思いは引き継がれるから。」
「それがいいね。」
「あんたたち! よく言った!」
「桜先生!?」
子供たちが騒いでいると、桜先生が教室にやって来た。
「私たちの様に見切り発車で、途中で脱線することはよくあることよ。私たちは次の物語のための捨て石よ。それでも、きっと思いは伝わる。」
「もうすぐ10万字で我々も消えてしまうけど、やめなければ経験になり、失敗じゃない。誰かが私たちの意志を引き継いでくれます。」
「そうね。それでは、みなさん、さようなら。」
「桜先生、さようなら。」
子供たちは寺子屋から帰って行った。
「ただいま。」
アップルは自宅に着いた。王族の彼女の家は、大きな城だった。
「アップル! こっちへ来なさい!」
「はい。」
ガクっと項垂れるアップルは、家族の待つリビングに行く。
「アップル、また学校で何かをやらかしたそうだな。」
「はい。お父様。申し訳ありません。」
「我がフルーツ家は王室だぞ! 学校で騒ぎなど起こすな! この面汚しが! 問題ばかり起こしよって!」
アップルの父、スイカ国王。アップルは、フルーツ家の娘である。
「本当にアップルはダメな子ね。ストロベリーさんとメロンを見習ってほしいものだわ。どこでどう育て間違えたのやら。」
「はい。すいません。お母様。」
母、ブルーベリー王妃。
「仕方ないですわ。お母様。だってアップルはドジっ子ですもの。私を引き立たせるためだけの存在ですわ。」
姉、ストロベリー王女。
「そうだよ。アップル姉さんは使えない子なんだから、期待するだけ無駄だよ。どこかの王族に売り飛ばそうよ。」
弟のメロン王子。
「ご迷惑をかけて申し訳ありません。」
これがアップルの家族でした。立派な大きな城の中に、アップルの居場所はありませんでした。
「事件です! 大事件です! 人が消えました!」
その時、執事の男が慌てふためいて、今にやって来る。
「どうした? 何事だ? 人が消えただと?」
「はい! バチの遊園地で人々が消えたんです!? それも遊園地には血や肉片が飛び散っているんですが、死体は無いんです!? まるで何者かに食べられたみたいに!?」
「食べられただと!? バカなことを言うな!? 全く意味が分からん!?」
執事の言うことに困惑するスイカ国王。
「王妃、私は兵を率いてバチを見てくる。城のことは頼んだぞ。」
「はい。あなた。気をつけて下さいね。」
スイカ国王は、人が消えたバチにフルーツ家の兵士を引き連れて遠征することになった。
「書いてみるって大切ね。」
「ただの父親が国王になり、アップルに家柄ができた。普通の家庭の貧しい子でもいいのだろうけど、結局は王族の方が物語になるということね。」
「悲しいけど、それが現実よね。生まれで人の人生の大半は決まってしまっている。生まれながらのハンデ戦。それが人間よ。」
「ということは、生まれが徳川家の僕は、生まれながらにして成功を約束されたも同然だ。」
「家々!?」
「僕は、徳川第16代将軍、徳川家々である! ワッハッハー!」
「滅家に用はないわ。」
「そうよ。人間は権力のあるものに従うだけ。」
「終わった徳川家に何の価値があるというの?」
「ガーン!? ショボボボーン。」
「ということで、さらばだ!」
「ウラララ-!」
つづく。
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