第49話 本当の災い。その3
「ねえねえ、ペリー。」
「何? ちいちゃん。」
「少年少女剣客隊って何なのかしら?」
「ただの文学部じゃない。」
「文学部だけど剣客隊って、変じゃない?」
「いいのよ。楓を見て見なさい。」
「ウラララ-!」
「そうね。細かいことを気にするのをやめるわ。」
「ウラララ-!」
「アニメの冒頭のシーンは書き終えた。マンガの1ページ目、終わり。」
「主題歌が入る。見開きタイトルの2ページと3ページ目。」
「CM。カラーの広告。ウラララ-! 」
「さあ、勝負のアニメ開始と4ページ目ね。どこから書こうかしら?」
「主人公のアップルから書くか、神から書くか。」
「主人公の周辺環境を書いてからの、神の怒り、地上に放たれる神の使徒。食われる主人公アップルと。」
「10ページ位かしら?」
「先は長いのだ。ウラララ-!」
「ヴァヴィヴヴェヴォ! ガギグゲゴ! ザジズゼゾ!」
音痴な少女の歌声が聞こえてくる。
パキーン! っと音楽室の窓が割れる。
「ギャア!?」
聞いていた他の生徒が口から泡を吹いて倒れる。
「ストップ!? ストップ!? 歌を歌うのをやめて下さい!?」
慌てて教師が少女に歌を歌うのを病めるように言う。
「歌わなくていいんですか?」
「結構です!?」
「やったー! ラッキー!」
少女は苦手な歌を歌わなくても良いと言われ無邪気に喜ぶ。
「タンカー!? タンカーを持って来て下さい!? 大丈夫ですか!? オレンジさん!? マスカットさん!?」
教室は失神した生徒が多数いてパニック状態であった。教師のパイナップルや、気絶しなかった生徒のモモたちは、倒れている生徒たちの救護をする。
「どうしたの!? みんな!?」
「あんたがやったんでしょ!?」
「え? 私? 私は、ただ歌を歌っただけだよ!?」
「アップル! あなたの歌はデス・ソングか!?」
「アッハハハハ。」
「笑って誤魔化すな!」
「私も救護を手伝います! みんな! 大丈夫!」
「もう!? 無邪気な音痴ほど怖いものはないわ!?」
音楽教室は津波か地震の自然災害が起こった現場のように、パニック状態になっていた。生き残った教師と生徒たちと、この状況を招いた音痴の少女も必死に災害の後始末に当たっていた。
「私の歌は罪ね。」
昔、昔、アップルという少女がいました。彼女は、世界でも稀な絶世の音痴でした。
「どこかに私の美声が分かる人がいないかしら。」
この世界の名前は、スーア。彼女の住む国の名前は、パンジャ。彼女が住んでいる地域が、キョウトウ。
「ああ~、お嬢様学校なんて、退屈だわ。世間知らずか、嫌味な人間しかいないんだから。」
アップルが通う学校は、お金持ちの子供ばかりが通う、由緒正しきお金が全てのオウケイ女子高。
「王族なんてやめて、自由に暮らしたいな。」
アップルは、パンジャ王族の娘だったのです。
「ああ~、面白くないな。」
彼女は、今の生活に息苦しさを感じていた。
「いい感じだな。私の出番を忘れると宿題1000倍にするぞ。」
「桜先生!?」
子供たちが騒いでいると、桜先生が教室にやって来た。
「桜先生、家々みたいに本当の災い扱いされたくなかったら、すんなり引っ込んでください。」
「そうしよう。みんな、さようなら。」
「桜先生、さようなら。」
子供たちは寺子屋から帰って行った。
「ああ~、面白くないな。」
ここは神の世界。おじいちゃんの神様が地上の様子を見て嘆いていました。
「なぜ人間は争い続ける? なぜ人間は世界を滅ぼす? 私は神として世界を平和に導こうと何度も何度も人間に救いの手を差し伸べてきた。それなのに、窮地を脱した人間は、いじめ、無視、パワハラ、セクハラ、また直ぐに争いを始める。なぜだ?」
神様は人間という生き物に疑問を抱いていた。
「そうか! 人間だ! 人間の存在自体が罪なのだ! 争いばかり繰り返す人間を世界から滅ぼせばいいのだ! 増えすぎた人間を減らせばいいのだ。」
神様は、世界から争いが無くならない答えを導き出しました。
「おまえたちに命を与えよう。おまえたちは神の使徒になるのだ。」
神様は、机の上にあったチェスの駒たちに語り掛ける。ドクン! ドクン! チェスの駒が鎧騎士の様な姿で12体、神様に心臓を与えられて動き出した。
「んん? そうか。おまえたちには顔も無ければ名前もないのか。」
その時、神様は明暗を思いつきました。
「12体いる、おまえたちの名前は12カ月の呼び名でいいだろう。」
チェスの駒たちは神さまから名前を授かった。
「そうだ。面白いことを考えついたぞ。人間を殺すことは簡単過ぎる。おまえたちに神の口をやろう。顔でも声でも欲しいものを手に入れるがいい。」
まだ感情表現することができない12体の神の使徒たちは静かに喜んでいるようだった。
「残酷な人間に相応しい神の裁きを与えてくるのだ!」
こうして神によって生み出された神の使徒たちは、人間の争う地上に舞い降りるのだった。
「展開的にはスムーズね。」
「どこがスムーズだ!?」
「家々!? あんた、全体の尺不足を考えて、登場を控えなさいよ!」
「僕は、徳川第16代将軍、徳川家々であるぞ! ワッハッハー!」
「無視しましょう。」
「制作は順調に進行中。」
「ウラララ-!」
つづく。
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