第28話 15の災い。その12

「ねえねえ、ペリー。」

「なに? ちいちゃん。」

「日常会話を面白く書けばいいなら、壮大なシナリオは要らないんだね。」

「そうよ。真面目なお話を書きたければ、売れてから書きなさいってことね。」

「ギャグでウケなければいけないってことね。」

「お腹空いた。」

「そればっかりかよ!?」

「いいな~。それだけで笑いが取れて。」

「憧れるな!」

「確かに、これだと少人数だけでもお話になりえる。」

「ということで、家々。さようなら。」

「おう! またな! って!? おい! 僕も少年少女剣客隊の初期メンバーだろうが!?」

「チッ、騙されなかったか。」

「悔しがるな!」

「僕は、これでも徳川第16代将軍、徳川家々であるぞ!」

「正確には、予定だっただろ。」

「なりそこなったくせに。」

「ウエエエ~ン! 女子がいじめる!?」

「泣くな! 男だろ!」

「オカマです。うふ~ん。」

「オエッ・・・。」

「気持ち悪い・・・。」

「食欲が無くなった・・・。」

「楓ちゃんの食欲を無くすとは、よっぽど気持ち悪いんだな。」

 ちょんまげをつけたオカマを創造してみよう。

「これは良い! オカマのネタで日本を征服してくれる! これで明治政府を倒して、再び徳川幕府を開くのだ!」

「やめい! 気持ち悪い!」

「痛い!? 叩くことは無いだろう!?」

「痛いの痛いの飛んでけ。」

「あ、痛くなくなった。ありがとう。楓は優しいな。」

「ダメよ!? 私には実朝くんという許嫁がいるんだから!?」

「はあ?」

「家々! いくら、おまえの頼みでも楓ちゃんは譲らないぞ!」

「どうしてそうなる!?」

「実朝くん、家々くんが楓のことを誘惑するの!? 怖い!」

「大丈夫! 私が側にいる! 家々! 楓ちゃんに何をした!? このセクハラ野郎め!」

「どうして、僕がセクハラしたことになっているんだ!?」

「寺子屋でセクハラは禁止だぞ。」

「桜先生!?」

 子供たちが騒いでいると、桜先生が教室にやって来た。

「最近、濡れ衣という災いが流行っている。みんなも自分はやっていないのに、犯人にされないように気を付けてくれ。それでは、さようなら。」

「桜先生、さようなら。」

 子供たちは寺子屋から帰って行った。


「はあ、こんな簡単な会話のやり取りでいいだなんて、世も末ね。」

「これで物語の成立がOKで、大問題にならないのが不思議だ。」

「日本って、平和だな。」

「ホッコリするわ。」

「そうだ。今日は、ちいの家に遊びに行ってみよう。」

「何にもないよ。」

「いいじゃん。面白そうだから。」

「まあ、いいか。」

 こうして、ちいの家に子供たちは向かった。


「おかえり、ちい。」

「お兄ちゃん、仕事は休みなの?」

「サボった。」

「さすがお兄ちゃん。」

「そこは仕事に行けと、蹴り飛ばすところではないだろうか?」

「ちいの家も独特よね。」

「ちいの兄のライです。何も無い家ですが、どうぞ、上がって下さい。」

「すごい~! 本当に何も無い。」

「言わなくていいのよ。」

「警察にだって、休日はありますよ。」

「なんだ、休みだったんですか。」

「いいえ、サボった。」

「ダメじゃん!?」

「今日は、犬のハチの散歩をする予定だったので、きっと休んでも大丈夫。」

「大丈夫な訳ないでしょう!?」

「そうなの? ちい。」

「知らない。」

「おまえらは世間知らずか!?」

「元々、西ノ島というところで生まれて、日本の本州までやってきたので、世間知らずといえば、世間知らずなのかもしれない。」

「ちいたちは移民なのね。」

「そうなのだ! ちいは移民なのだ!」

「自慢することではないと思うけど。」

「そうなの? ガッカリ。」

「そこまで落ち込むな!」

「ということで、ちいとお兄ちゃんを掘り下げようとしても、何も出てこないよ。」

「立ち直るの早。」

「ちいとお兄ちゃんというよりは、竜の使いの人々や歴史に名を残す者とか、サブキャラの方がキャラが濃いからね。」

「歴史に名を残す者たちって、まだ誰一人も登場してないね。」

「竜の使いも、海ちゃんと火ちゃんだけだ。なぜだろう?」

「それは読み返しての整理が20話までしか進んでいないからだ。ワッハッハー!」

「災いを考えるのも苦行になってきたし、久々に制覇でも呼んで来るか。」

「お兄ちゃん、いってらっしゃい。」

「いい兄弟ね。」

「なんだか泣けてきた。」

「ほんまかいな!?」

 確かにライは戦ってばかりで、ちいは泣いてばかりだった。

「ちょっと待った! 私は徳川15将軍の一人、第4代将軍、徳川家綱だ! 私の出番はどうなった!?」

 登場を忘れられる災い出会った。

 つづく。

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