第27話 15の災い。その11
「ねえねえ、ペリー。」
「なに? ちいちゃん。」
「災いって、どんな顔をしているんだろうね?」
「家々みたいな顔でしょ。」
「そっか。」
「納得するな!」
「変な顔。」
「誰が変な顔だ! 僕は男前だ!」
「どうでもいいや。」
「もっと僕に関心を持て!」
「お腹空いた。」
「お腹空いたね。」
「おまえら、いつでも空腹か!?」
「私もお腹空いた。」
「実朝!? おまえもか!?」
「だって、家々に味方するよりも、楓ちゃんたちの味方をした方が得るものが多いんだ。キラン。」
「羨ましい!? ハーレムかよ!?」
「家々、心の声が出てるぞ。心の声が。」
「しまった!? ゴックン。」
「呑み込んだ!?」
「一度出したものをのみ込むな! 気持ち悪い!」
「気にするな。徳川4000年の歴史だ。」
「徳川は200年だろうが!」
「バレたか!?」
「バレないとでも思っていたのかよ。死ね!」
「大砲をぶち込むわよ!」
「お腹空いた。」
「私の決めゼリフが無い!? どうしよう?」
「分かった! それが災いだ!」
「どんな災いだよ!?」
「でも確かに個性あるキャラクターの育成に置いて、決めゼリフのないことは大問題だ。」
「なんて狭い災いだ。神隠しや大量殺戮や巨人、ゾンビの頃の壮大な災いを思い出せ! 災いが大きくなければなるほど、災いを振り払った時の徳川家の威光が大きくなるではないか! ワッハッハー!」
「ちっちゃな威光だな。」
「うるさい!? すきで滅んだわけではないわ!? いつか必ず江戸幕府を再興して見せる!」
「いつのことやら。」
「言葉の暴力は、無視と変わらないぞ!」
「殺虫剤?」
「それは虫だっの!」
「ダメだ! これでは話が進まない! 誰か! 桜先生を呼んできてくれ!」
「桜お姉ちゃん、時間ですよ。」
「そんなもんで、来たら苦労しないよ。」
「は~い。楓。」
「キター!?」
「わ~い! 桜お姉ちゃんだ!」
「家々! 子供みたいに駄々をこねるな!」
「だって子供だもの。」
「家々、退場!」
「ええー!? 教師による生徒に対するいじめだ!?」
「何とでも言え!」
「クソッ!? 教育委員会にチクってやる!」
「何とでも言え。私は幽霊だから、人間の教師の価値観には縛られない。」
「む、無念。」
「分かったら、みんな、席に着いて。」
「最近、今時のギャグの展開ばかりで、決めゼリフもないキャラクターがいるという災いが流行っているるから、気をつけて帰ってね。みなさん、さようなら。」
「桜先生、さようなら。」
子供たちは寺子屋から帰って行った。
「そうか、不幸って、全て災いだったんだ。」
「そうだね。災いが不幸で処理されるなら、のほほんとした日常を描いていれば、それでOKよね。」
「ということで、ペリーの家に行きましょうよ。」
「どうして、そうなるのよ?」
「あなたの家の教会の倉庫が、ずっと気になっていたのよ。」
「そうそう。たくさんのお便りも届いているわよ。」
「お便り!?」
「ペリーのお父さん、ザビエルは何者ですか? 教会の倉庫はどうなっているんですか? 麻薬ですか? 拳銃の密売人ですか? 気になって夜も眠れないそうだ。」
「なら、寝なかったらいいじゃない。」
「おい。」
ペリーの家の教会に着いた。
「おかえり、ペリー。」
「ただいま、お父さん。」
「今日は友達を連れてきたんだな。」
「どうしても、うちの教会の倉庫が見たいとついてきちゃったのよ。」
「倉庫!?」
「あ!? 動揺した!? やっぱり倉庫には人に見られてはいけないものがあるのよ!?」
「よかったら、お茶にしよう。紅茶とケーキをどうぞ。」
「わ~い! お茶とケーキ!」
「楓ちゃんが食べるなら私も食べる。」
「あ!? 裏切り者!?」
楓と実朝は食べ物に釣られた。
「私は、ファンのためにもペリーの教会の倉庫の中身を調べねば!」
「僕だって、徳川の意地がある! ここで食べ物に負ける訳にはいかないのだ!」
「よかったら、マカロンもあるよ。」
「わ~い! マカロン!」
「こら!? 家々!? 徳川の意地はどこにいった!?」
「徳川家の意地より、マカロンの方が大切だ!」
家々もマカロンに釣られた。
「ちいも食べなさい。後で倉庫の中身を見せてあげるから。」
「それなら私もいただきましょう。」
「本当は食べたかったくせに。」
「うん。」
「美味しい!」
みんなで仲良くアフタヌーンティーを頂いた。
「それでは倉庫を開けるぞ。」
「ドキドキ!」
「ワクワク!」
ついに教会の倉庫を開ける。
「よう。家々。」
「ご先祖様!?」
教会の倉庫には、家々のご先祖様がいた。
「私は、徳川15将軍の一人、第3代将軍、徳川家光だ。ワッハッハー!」
「これがオチね。」
お手上げの子供たちだった。
つづく。
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