第26話 15の災い。その10

「ねえねえ、ペリー。」

「なに? ちいちゃん。」

「ついに家々のご先祖様たちと協力して災いを倒す物語になったんだけど、いいかな。」

「いいんじゃない。面白ければ。」

「OK!」

「納得早。」

「エヘヘッ。」

「笑って誤魔化すな。楓からも、ちいに何か言ってよ。」

「お腹空いた。」

「そうだ! お腹が空いたぞ!」

「おまえたちは腹ペコ姉妹かよ。」

「歴史モノのキャラクターは、お腹一杯にご飯を食べたことは無いから、いつもお腹が空いているのだ! わかったか! ワッハッハー!」

「笑うな! 僕とキャラが被るだろうが!」

「家々のクセに生意気よ! 死ね!」

「男が女の戦いに口を挟むな! 大砲をぶち込むわよ!」

「悔しかったら、米を持ってこい! 米を!」

「なんだ!? この違和感は!? 本当は災いとは、この3人のことを言うのでは!?」

「やめろ! 家々! そんなことを言っていると、また追放されるぞ!」

「お口にチャック。」

「文句は言っても、追放はされたくないんだな。」

「よっぽど前回、無視されたのがこたえたんだな。」

「ちいちゃん! ペリーちゃん! それだよ! それ! 10個目の災いは、無視だよ!」

「殺虫剤持って来て!」

「それは虫。」

「おまえたち! 遊んでいる場合か! 災いを止めなければ! 徳川家が再興できないではないか! もっと真剣に災いと戦わんかい!」

「一番ふざけているのは、おまえだ。家々。」

「桜先生!?」

 子供たちが騒いでいると、桜先生が教室にやって来た。

「最近、無視するという、いじめが流行っていますが、無視をしてはいけませんよ。殴ってもダメ。なら、どうやって人と接すればいいんだ!? それでは、さようなら。」

「桜先生、さようなら。」

 子供たちは寺子屋から帰って行った。


「教師も大変なのよ。」

「どうして、桜先生が!?」

「あのね。私だって、家に帰るわよ。」

「桜お姉ちゃんと一緒にお家に帰れるなんて、久しぶりだね。」

「そうね。寺子屋の教師って、忙しいのよ。テストの採点だの。部活の顧問だの。校長先生や教育委員会のセクハラなど、休日出勤も当たり前だし。なかなか楓と遊んであげる時間もないわよね。」

「さらっと教育業界の文句を言っとりますな。」

「さすが桜先生だ。」

「どんなもんよ!」

「褒めてない!」

「パチパチ! やったね! 桜お姉ちゃん!」

「やめろ! バカ姉妹!」

「教師に向かって、何という口の利き方!? ちいさん! ペリーさん! あなたたちの成績は、1にしてあげます!」

「ええー!? お兄ちゃんに殺される!?」

「どうして私まで!? 私は何も言わずに大人しくしてたのね!?」

「私は名前すら言われない。そんなに存在感が薄いのか?」

「実朝くんも、お姉ちゃんに言って、成績を1にしてもらうね。エヘッ。」

「楓ちゃん。ありがとう。大好きだよ。さすが我が嫁だ。」

「こいつら頭がおかしいんじゃないか?」

「桜先生、大切な妹に変な虫がついてるぞ!? いいのか!?」

「無視する!」

「そこで無視かよ!?」

「いいじゃない。恋愛は自由よ。」

「桜先生、大人。」

「それに実朝くんなら、鎌倉幕府を作った源のお坊ちゃまだし、お父さんとお兄さんは現在、警察にお勤め。うちの旦那の蛍の上司と同僚だもの。楓を実朝くんと結婚させて血縁を結べば、私の旦那の蛍の出世も間違いなし!」

「政略結婚かよ!?」

「フッフッフ! これで我が家も安泰よ!」

「それが教師の言うことか!?」

「楓も喜んでいるからいいのよ。ねえ、楓。」

「うん。お金持ち大好き。だってご飯がお腹いっぱい食べれるもの。」

「この似たもの姉妹が!」

「あの、巻き添えにされた私のことが忘れられているんですが?」

「いたの?」

「ずっと待っていたんだぞ!?」

「ごめんごめん。でも、ペリー。あんたはマシな方よ。」

「え?」

「そこに家々のご先祖様が、あんたよりも長く自分の出番を待っているわ。」

「ええー!? いたの!?」

「やっと触れてもらえた!? 私は徳川15将軍の一人、第2代将軍、徳川秀忠だ。化石になってしまうかと思ったぞ!? はあはあはあ。」

「化石になれば良かったのに。」

「息が荒い。変態さん?」

「もうヤダ。我が末裔、家々よ。よくこんな下品な奴らと仲良くできるな?」

「僕は少年少女剣客隊のリーダーですから。」

「誰がリーダーだ! 家々、殺す!」

「おまえがリーダーなら隊が壊滅するわ! 大砲をぶち込むわよ!」

「桜お姉ちゃん、お腹空いた。」

「そうね。楓。頭の弱い子の相手はしちゃダメよ。バカが移るから。」

「は~い!」

「偉いわ。楓は賢いのね。良かったら、実朝くんも夕飯を食べていかない?」

「いいんですか?」

「いいのよ。将来は楓と結婚するんだから。」

「まだ婚約もしてませんが?」

「逃がさないから安心してね。」

「それではお言葉に甘えて。」

「やったー! 人数が多い方がご飯が美味しいね。」

「そうね。人生は楽しく生きなくっちゃ。オッホッホ。」

「家々、おまえもご先祖様たちの元へ来るか?」

「まだ死にたくありません。」

 こうして平和に1日が終わっていく。

 つづく。

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