第25話 15の災い。その9
「ねえねえ、ペリー。」
「なに? ちいちゃん。」
「ゴールデンウィーク中って、まったく投稿しても、アクセス数が無いよね。」
「ということは、普段のアクセス数って、出版社の下読みがメインで、ゴールデンウィーク中は10連休で休みだから、出版社のアルバイトがいないってことね。」
「ああー!? シリアスから、ギャグに作品の展開が流れてるよ!?」
「こういう会話でいいなら、現代ドラマや映画の脚本も書けるね。グー!」
「何が、グー! だ。この物語は、徳川第16代将軍、徳川家々が明治政府を倒して、江戸時代を復活させるというサクセスストーリーだぞ! ワッハッハー!」
「そうだったの?」
「知らなかった。」
「お腹空いた。」
「使命感に燃えていた少年少女剣客隊は、4コマ的ギャグストーリーに変更だね。」
「そうね。真面目なお話を考えたところで、読む人が居ないんだからな。」
「お腹空いた。」
「少年少女剣客隊は、放課後の部活動みたいだね。」
「おまえたち! これは災いだ! 徳川家の再興を阻む災いだ! きっと、みんなを疑心や不安、諦めの心にして、話を前に進ませないつもりだ! 負けてはいけない! 苦しくても、辛くても、その先に輝かしい未来が待っているのだ! ワッハッハー!」
「最後に笑うな。」
「桜先生!?」
「みんな、席に着いて。」
子供たちが騒いでいると、桜先生が教室にやって来た。
「最近、災いの9つ目だ! 災いを解決したぞ! だけ話を進めて、中の会話は面白くいじってるだけの中身なし。こんな脚本ばかりが求められるくらい、面白くない真面目な中身は、直ぐに切り捨てられる現代。全ての会話にツッコミを入れる会話しか許されない世の中になってきたから、危ないから気をつけて帰ってね。それでは、さようなら。」
「桜先生、さようなら。」
子供たちは寺子屋を去って行った。
「普通の会話は面白くないから却下だなんて、なんて世の中だ!?」
「桜先生も、あれだけしゃべって、最後は、いつも通り、さようならを言うんだな。意志が固い!?」
「この物語は、どこへ行くんだろう?」
「まあまあ、そんなに考えないで。要するに「おまえ天使のくせに人を殺すというのか!?」「天使が悪い事をしてはいけないと誰が決めた!?」「私。」「なんだそれは!?」「そういう、おまえこそ! 悪魔のくせに! 俺が殺そうとした人間を助けてるんじゃねえぞ!」「アホ! こっちだって好きで悪魔をやってるんじゃないわい!」「なら、やめればいいじゃないか? 悪魔を。」「それはできない! できないんだ!」「どうして?」「だって悪魔をやめたら出番がなくなるから。ニコッ。」「それもそうだな。」「納得するのかよ!?」「俺も天使をやめたら、もっと正確にいえば、悪い事をする天使をやめたら、個性が無くなって、面白くなくなるから、出番が無くなって死んじゃう。」「だよな! だよな! 分かるぜ! 天使のおまえの気持ち!」「分かってくれるか! 俺だって天使に生まれたのに、本当は悪い事をしたくないんだ! でもでも、良い天使って、たくさんいすぎて、良い天使じゃ俺は埋没してしまうんだ!?」「分かるぜ! その危機感! 私も同じだ! 悪魔の大先輩には、口から火を噴いたり、ラーメン屋で食い逃げしたり、とてつもなく悪い人が多くて、私なんかの悪事じゃ太刀打ちできないんだ!? 悲し過ぎて、悪魔に生まれたことを恨んだよ!?」「おお! 同士よ!」「我が友! 天使よ!」「よし! 俺たちは共犯だ!」「共犯?」「そうだ! 俺は天使だが悪い事をして、おまえは悪魔だが良い事をする。」「面白そう。」「だろ? 作ろうぜ! 俺たちの物語を!」「私たちの物語! なんだか、カッコイイ!」こうして天使と悪魔は親友になった。的な話の展開です。
「やめろ! 天使と悪魔で徳川家の話を弄ぶな!」
「そうだ! そうだ! 待ちくたびれたぞ!」
「あなたは?」
「私は、徳川15将軍の一人、第1代将軍、徳川家康だ。」
「ご先祖様!?」
「きっと、これも、15の災いの性に違いない。」
「災いをバラまいているのは、ご先祖様たちでしょうが!?」
「いいや。違う。災いが勝手に暴走をしているのだ。」
「災いが暴走!?」
「嘘つくな。」
「災いに自由意志があるとでも言うのか?」
「その通りだ。」
「やったー! 正解したぞ!」
「正解の景品は何かな? ワクワク!」
「景品は、ハワイ旅行です!」
「やったー! ハワイだ! 日本人初の海外旅行者だね!」
「地図の上での話じゃ。」
「アロハ~! フラダンスに、ファイヤーダンスして遊ぶんだ!」
「こいつ、聞いてないな。家々。」
「はい。ご先祖様。」
「ここは徳川15将軍たちも協力するので、勝手に独り歩きする災いを食い止めなければ、江戸幕府を再興するどころか、日本事態が無くなってしまう。」
「やめて下さい! ご先祖様! これだけギャグな内容になったのに、シリアスをぶち込んでくるのは。」
「大丈夫。つづきは次話で。さようなら。」
「逃げた。」
「言うだけ言って、逃げたな。」
「さすが家々のご先祖様だ。」
「いや~、そんなに褒められても。」
「褒めてない!」
こうして暴れ出した災いを止めるという使命が、家々たち少年少女剣客隊に課せられた。
つづく。
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