第20話 15の災い。その4

「ねえねえ、ペリー。」

「なに? ちいちゃん。」

「巨人が現れて、街を破壊したんだって。」

「物騒な世の中ね。」

「実は私たちは関係者です。」

「楓ちゃん、見て見ぬふりをしよう。」

「どうだ! 僕のご先祖様たちの力は! 神隠しも、大量虐殺も、巨人も全て、僕のご先祖様の仕業だ! ワッハッハー!」

「黙れ! 家々! おまえがやったわけではないだろう! 殺すぞ!」

「大声でしゃべったら、私たちが共犯だとバレるだろうが! 大砲をぶっ放すぞ!」

「警察に捕まったら、ご飯が毎日食べれるね。」

「楓ちゃん、独房のご飯は不味いよ。」

「それは困る。逮捕は無しという方向で。」

「どいつもこいつもよくしゃべる。既にご先祖様たちが第4の災いを江戸にまき散らしている頃だ! 徳川家は永遠に不滅でござる! ワッハッハー!」

「うるさい。」

「桜先生!?」

「みんな、席に着け。」

 子供たちが騒いでいると、桜先生が教室にやって来た。

「最近、噛まれるとゾンビーやキョンシーになってしまう、ドラキュラ・システムが流行っているから気をつけて帰るのよ。それでは、さようなら。」

「桜先生、さようなら。」

 子供たちが寺子屋から帰ろうとする。

「ちょっと待った。」

 そこに変な男が現れる。

「私は徳川15将軍の一人。第11代将軍、徳川家斉だ。」

「ここは良い子の寺子屋よ。何しに現れたの?」

「第4の災いを起こしに来たのだ。ワッハッハー!」

 その時、寺子屋の周囲は、人々に囲まれていた。何だか人々の様子がおかしかった。

「助けて!? 変なおじさんに襲われています!?」

「変よ!? この人たちは!?」

「人間であって、人間じゃない!?」

「この人たちは!? ゾンビー!?」

「さすがはご先祖様! これだけの兵がいれば、明治政府を倒すことも容易いでござる! ワッハッハー!」

「その前に、あなたも生きてるんだからゾンビに噛まれたら、ゾンビになるのよ。」

「それは困る!? ご先祖様! ゾンビの寺子屋襲撃はやめてもらえませんか?」

「無理。だってゾンビは私の言うことを聞かないもの。」

「なんですと!?」

 ゾンビは食欲旺盛、自由奔放だった。

「ギャアアア!?」

「実朝くん!?」

 源実朝がゾンビに噛まれた。

「うおおおお!? ゾンビに!? ・・・変わらない? あ、そっか。私は鎌倉時代の霊で、霊体として実体化しているだけだから、特にゾンビに噛まれても、何ら変化はしないのか。」

「ということは、幽霊の私もゾンビに噛まれても大丈夫。やったー!」

「それでも教師か!?」

 実朝と桜先生は幽霊なので、ゾンビに噛まれてもゾンビ化しない。

「女だ! その男と、徳川家の末裔の家々は狙うな! 女を狙え! 女は生きてるぞ!」

「ガオオオー!」

「言うこと分かってるじゃない!?」

「ラッキー。僕は狙われないでござる。」

 ゾンビたちが、ちいたち襲う。

「これよ、こういう展開を待っていたのよ。」

「そうよね。詰め込んだ弾が腐る所だったわ。」

「適度な運動は健康にいいのだもの。」

 ちいは、竜の使いを呼び出す準備をし、ペリーは拳銃に銃弾がこもっているのを確認し、楓も蛍たちと会話をする様に戦う準備をする。

「ガオオオー!」

「いでよ! 海竜様と火竜様の使い! 海ちゃん! 火ちゃん!」

「いきなり呼ばないでよ!? 二人で呼ばれると漫才コンビみたいなんですけど。」

「これも青春だ! 青春一直線!」

「どうでもいいから、このゾンビたちを何とかして。」

「塩辛いぞ! 海竜破!」

「燃えろ! 火竜破!」

 海竜と火竜がゾンビに襲い掛かる。

「脳みそと心臓をぶち抜いてやる! ペリー・ショット・乱れ撃ち!」

 バンバンバンと360度に拳銃の弾をぶっ放すペリー。

「そして、とどめのロケットランチャー!」

「どこからそんなものが!?」

「教室の掃除道具置き場。」

「そんな物騒なものを掃除用具と一緒にしまうな!?」

「フィニッシュ。」

 ドカーンっと、ペリーの肩に担いだロケットランチャーがゾンビの群れに撃ち込まれ爆発する。

「いけ! 蛍さんたち! ゾンビさんたちを焼き払え!」

 楓は、蛍たちに生命エネルギーを充電し、高温になった蛍を光線のようにゾンビに放ち攻撃する。

「ガオオオー!」

 ほぼゾンビたちは、ちい、ペリー、楓の活躍により壊滅した。

「なんなんだ!? おまえたちは!?」

「私たちは、少年少女剣客隊だ! おまえの悪事は許さないぞ!」

「少年少女剣客隊!? クソッ!? 今日のことは忘れないからな!? 覚えているよ!?」

 徳川家斉は、生き残ったゾンビたちと消え去った。

「なんとか形になったわね。」

「これからもみんなの平和のために戦いましょう。」

「頑張るぞ! 少年少女剣客隊!」

「おお!」

 やっと活躍らしい活躍をした少年少女剣客隊。

「私の出番がない!?」

「僕の出番もない!?」

 悔しがる桜先生と家々であった。

 つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る