康徳三十四年七月十日宣布帝國憲法改正法

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改正憲法施行勅語

朕先帝の遺命に依り満州帝國帝位を承け万機を総ぶ。

朕及朕が子孫は將來此の憲法の條章に循ひ國家統治の大權を行使することを愆らざるべし。又朕は我が臣民の権利及財産の安全を貴重し及之を保護し此の憲法及法律の範圍内に於て其の享有を完全ならしむべきことを併せて誓言す。


 御名御璽


  康徳三十四年十月十八日



上諭

朕我が臣民の意思を体現したる帝國議會の審議議決及参議府の諮詢を経たる帝國憲法の改正を裁可し茲に之を宣布す。

帝國憲政の昌盛は更に深化し、我が臣民不断の努力に依り立憲政治の基礎猶一層強固のものとなりたるを深く慶ぶ。立憲政治は一日にして成らずして又其の完整は道遠きものなり。朕立憲政治の継続を欲し汝臣民の更なる努力を願ふに此の憲法の改正を持ってす。

此の改正憲法は新帝の践祚を以て有効ならしむるの期とすべし。

朕が在廷の大臣は朕が爲に此の憲法を施行するの責に任すべく朕が現在及將來の臣民は康徳十一年五月十五日宣布憲法及此の憲法に對し永遠に從順の義務を負ふべし。


 御名御璽


  康徳三十四年七月十日


   國務総理大臣 陳須康

   (以下参議府議長、元老院議長、衆議院議長各国務大臣副署)


第一條 憲法第十五條の規定を以下の如く改む。

 第十五條 皇帝統治権を親ら行使せざるときは皇帝の代理人たる執政之を代行す。


第二條 憲法第十五條の後に「第一章の二 執政」を追加す。


 第一章の二 執政

 第十五條の二 執政は皇帝の権能に準じて國家元首としての資格を有し、外國に対し國家を代表す。


 第十五條の三 執政の推薦は参議府の諮詢事項とす。但し其の推薦に付帝國議會の協賛を必要とす。


 第十五條の四 執政が欠位となり又は事故により職務を遂行すること能はざるときは参議府議長、参議府副議長、上席の参議の順位で職を代行す。


 第十六條の五 皇帝大権は凡て執政が其の権能を代行す。但し皇帝統治権を親ら行使するときは其の期間権能を停止す。


第三条 憲法第六十六條の二を新設す。


 第六十六條の二 國務総理大臣は衆庶の望を徴して皇帝之を親任す。


第四條 憲法第百一條を新設す。


 第百一條 帝國憲法の改正法は、康徳十一年五月十五日宣布憲法及既行の改正憲法と一体となりて施行す。

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架空法令集 @monamoro

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