第2話 : 続・神隠し [ エピローグ ]

第2話 : [ エピローグ ] ─ ( 1 )




 先程から、妹のが一言もシャベらない。


 これから会うが気になり緊張しているのであろう。 姉のサユリも、実の所いささか緊張しており、それを妹に悟られぬ様、明るく言い放つ。


「 今度の新しいお父さん、お母さん、 優しい人に決まっているわ!! リマを一番大事にしてくれるわよ。 心配なんて全然、要らないんだから!!」


 妹を引く手に力が入る。


 ここ、秋葉国道452号線より、一つ路地へと入ると乙妻坂と呼ばれる穏やかな坂道がある。少し入った奥には、長いスロープの付いた急な階段が待っており、街を見下ろす丘の上へと登って行く。


 背が高いとは言え、まだ肩の細いには、不釣り合いなほど、大きなリュックサックを上下に揺らし、右手にはキャリーバッグ、左手にはクマのヌイグルミを抱いた妹といったで立ちで、太陽も傾きかけたこの坂道を足早に進む。


 流石に疲れてきたサユリは、坂道の真ん中で一度リュックを降ろし、小休止を取る。





 慌ただしく、追い立てられる様に学園を後にした為、荷物も整理出来ず、手当たり次第リュックに押し込んだ。

 ただ一つ、秋葉児童養護学園が突然、閉鎖されて、一週間も経たない内に里親が決まった事だけは幸いであった。


 学園長の日向﨑ヒュウガサキ氏が、リコピンのバースデーイベントに訪れて数日後。 突然、の査察が学園に入り、程なく彼に違法蓄財による脱税容疑が掛かる。続いて、の職員が大勢なだれ込み、子供達は一人一人丁寧に事情を聞かれると各自、バラバラに保護されていった。


 学園から離れ安心し、恐怖による洗脳が解かれた生徒達はポツリ、ポツリと日向﨑氏による虐待の実態を告白し始める。それにより学園側は即刻、行政処分を受け閉鎖。その後、彼は脱税 オヨび、児童虐待の容疑で収監される。


 日向﨑氏は素直に検察側の起訴内容を、ほぼ認めたものの、同時に、吉永リコよりを受け、現金500万円をユズり渡した事を陳述チンジュツする。


 ところが事前に吉永リコ、への失踪届けが、姉のアヤから有り、警察に授受されていた為、この陳述が返って『吉永リコの誘拐及び、殺人容疑』の嫌疑が日向﨑氏にかかり、結果、長期の逮捕、拘留コウリュウと成ってしまう。

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