第2話 : 青い月 ( 1 )




 再び、時間軸は元のスターライト・エキスプレスに戻る。


 本日、全てのイベントは終了し、閉店時間は先程過ぎた事を、お気に入りで確認する。


 お客様は皆、帰ったが店内には今日の為に、リコピン本人が選曲した音楽が、ゆっくりと流れている。


 突然の身内の失踪と、自身のバースデー・イベント準備で満身創痍マンシンソウイの二週間であったが、周りのメイドさん達が、快く協力してくれ、本当にやって良かったと今はそう思っている。


 後片付けを済まして、さぁ帰ろう。 明日からまた、を集める行動に切り替えなくてはならない。





 リコピンが家路へと急ぐ秋葉ジャンク通りで、LINEの通知音が鳴る。


 相手は『ゆうピン』アイコンがエレキギターのピックになっている。


 以下LINEの内容である。



〈ゆうピン〉: リコ無事なのか?、二週間も連絡無かったから心配してたんだよ!!


〈リコ〉: ええ。 私は元気よ!何で?


〈ゆうピン〉: 何でじゃねぇよ!二週間前に、マンションに来て、俺がコンビニに酒を買いに行ってる間にプイといなくなってしまって、それっきりじゃないかっ!


〈リコ〉: ああ… ユウスケね!誰かと…


〈ゆうピン〉: 彼氏に向かって誰は無いだろ!


〈リコ〉:ええ… ごめんなさい。 今イベントが終わったばかりで、ボケッとしてて …


〈ゆうピン〉:ああ…それは良いとして… 正直、この前はリコから突然の妊娠の報告を受けて、心にも無いあんなヒドい事言ってしまって、本当に悪かったよ… 今は反省しているよ。


〈リコ〉:ええ… 私は何にも気にして無いわ。大丈夫!!


〈ゆうピン〉:それは良かった。コレまで連絡は欠かす事は無かったけど、リコが怒っていると思って遠慮 していたんだ。


〈リコ〉:妊娠による躰の変化なのかしら… 先日マンションに行った時の事を細かく憶えていないのよ…私 …


〈ゆうピン〉:それは無理ないさ… 随分と疲れていたみたいだったよ。それに、先日は、お互い三週間ぶりの、ごだからって、リコが綺麗な下着を着けて盛り上がっていたのに、今夜は姉が待っているから早目に帰るなんて、珍しい事も言っていたんだ。


〈リコ〉:そっそうだったわね … 思い出して来た …


〈ゆうピン〉:それでリコがシャワーから出てジュースを飲んだとたん、そのまま独りで寝てしまって …白けた俺は、お前を残して酒を買いに行き、戻ってみれば、部屋は、もぬけのカラに …

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る