第2話 : 青い月 ( 2 )




〈リコ〉:私も記憶が曖昧アイマイだから、ハッキリとは言えないのだけれど、マタニティーブルーのせいなのかしら… 時折、躁鬱ソウウツに成ってしまって、今現在の自分の行動が把握ハアク出来ない事があるの…


〈ゆうピン〉:ああ … 俺も聞いた事がある。 仕方が無いさ…。 理解は出来ているよ。大丈夫。

 それと後、今マンションの周りには取材人が群がっているから、直接は会えないなぁ…。 でも、近いうち必ず会う手はずを取るよ!!


〈リコ〉:どうやって会うの …?


〈ゆうピン〉:二週間後に、俺等メジャー初のLIVEが、武道館であるだろう!?その日に、リコはスタッフとして会場に入れば良いのさっ!!


〈リコ〉:でも… それでは直ぐ、バレてしまうわぁ …。


〈ゆうピン〉:大丈夫!!後日、LIVEスタッフ専用のキャップ、ジャンバー、IDカードを自宅へ郵送するさっ。楽屋はナンバーロックキーで、出演者、各個人別々に成っていているから、誰も入っては来れないんだ。


〈リコ〉:それなら、安心ね …。


〈ゆうピン〉:だろう?(笑) LIVE 終了後、そのまま二人で、成田を飛び立って、フランス南部に三週間程バカンスに行こう!! 所属事務所には、既に休暇を出してあるよ!!


〈リコ〉:えっ 本当に!? 嬉しい!! 楽しみにしてるぅ~♪


〈ゆうピン〉:俺も楽しみにしているよ!! 早くリコに会いたいなぁ …


〈リコ〉:私もっ!! ユウスケに会いたいっ!!


〈ゆうピン〉: 愛してるよ!! リコ!!


〈リコ〉:私の方が100倍!! ユウスケを愛してる!!


〈ゆうピン〉: (^-^)/~~愛愛愛愛!!


〈リコ〉: (*⌒▽⌒*)Thank!!


 久しぶりに、ユウスケとLINEを交わし、嬉しいはずのリコだが、思いのほか顔色がえない。


「二週間後の武道館かぁ …。 」


 もう一度、LINEの文面を見つめ、何やら決意した様に、スマホをポケットにグイと押し込む。




 うん? フト蔵前通りに差し掛かった辺りで後方より、彼女の歩幅に合わす人物がある。


「 誰っ!? 」


 振り返り言い放つと。


( カシャッ!!カシャッ・カシャッ!! )


 カメラのシャッターを切る音が3回する。


「ちょっ … ちょっと待ちなさいっ!! 」


 直ぐに追いかけるが、路地裏の角を曲がった処で見失ってしまう。


 失踪の出来事と、何か関連性が有るのだろうか 。




 見上げた夜空に、青い月が冷たく薄笑いを浮かべている。




 ああ … なんて不吉な夜なんだろう … 。




 後日、自宅へ、ユウスケより当日スタッフ装備品一式と、楽屋ドアのナンバーロックキーの暗号が送られてきた。

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