第2話 : スターライト・エクスプレス ( 6 )




 説明責任なんて言葉を使って随分とモットもらしい態度だが、要は、自分は世間の好奇な目にサラされているだけで真実やら、人権なんて物は彼等は、お構い無しなのだ。


「まっ待って下さい!! ユースケさんは、お友達の一人である事は間違いありませんが、結婚だとか、まして妊娠しているだとか、一方的な掲載をされて、誤解を招いている現状に大変困惑しています。 つきましては、弁護士さんを通じて雑誌社に対し、法的な対応も検討させて頂いております!!」


 彼女はキッパリと否定する。


「でも、あなた!! ユースケさんのマンションに通っている処や、一緒にスーパーで買い物をしている処もスクープされているじゃないですか? この件については、 どう弁解されるおつもりですか!!」


 全く切りが無い。




「正直、私自身、見覚えの無い事ばかりで混乱しております。それに、只今の時間帯はメイドの御給仕中ですので、ここで失礼させて頂きます!!」


「ちょっと!!リコピンさんっ!!逃げないで、誠意を見せて下さいよ!! 要するに、いい大人がに手を出した構図なんでしょうがっ!! 世間の批判は免れませんよ!!リコピンさん答えて下さいよ!!」


「もっと他に、お聞きしたい事が… リコピンさぁん!!」


 熱気を帯びた取材陣を残したまま、彼女は足早に、ビルの非常階段より駆け登って行く。


 車椅子の、お嬢様は背中で、その一部始終をウカガうと、車輪を秋葉の雑踏の中へと押し入れ、静かに、その場を離れて行った。

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