第2話 : 秋葉児童養護学園 ( 1 )
「本日は、お忙しい中、列席頂き誠に有り難うございました」
学園の応接室で、日向﨑氏が深々と頭を下げる。
「いやぁねぇ… 日向﨑君の永年の功績は周知の事だがね。 選考委員会の連中が、これが
と
「おっしゃる通りで … この度の都民栄誉賞の授与は区長の
と、言うと彼は直ぐに
「日向﨑君。 随分と立派な胡蝶蘭だねぇ…。 参列者からの、お祝いの贈り物かい?」
区長が
「いえいえ。 これは、私の趣味でして、学園内に温室を完備し育てております」
恐縮しながらも、彼の自慢の作品なのだろう。褒められた事に、素直に笑みがこぼれる。
「胡蝶蘭は、手を掛ければ、掛けた分だけ美しく育ちます。 四季ごとの肥料の入れ換え、水やり、日照調節、温度管理 、湿度 … 等々。
気の休まる暇がありません 」
「ハッハッハ 。そりぁ 子供達と同じじゃないか!!」
「おっしゃる通りで」
彼はその台座から、
と、そこに …
( トントン )
彼女の繊細かつ優美なピアノの調べが、お茶の所作にも宿る様を列席者は、ただ感服する。
「糸川サユリ君と言ったねぇ… あなたの様に才能に
日向﨑氏にとって、サユリはある意味、彼の手塩にかけた最高作品なのかもしれなかった。 区長に褒められたサユリより得意そうに胸を張る。
列席者全てが、お茶に口を付けた事を確認した彼は、最後に自分も頂く。すると直ちに顔色を変え、
「 サユリさん、お客様と私のお茶を直ぐに下げなさい。この様な、お茶では、お客様に大変失礼です」
「おいおい、日向﨑君。 私達は何も
と区長が他の議員に
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