第105話 きょうの出来事

 気を取り直して朝の串焼き屋さんに寄って串物を買って帰る。

 豚串5本で銅貨5枚、鳥串5本で銅貨5枚、羊串5本で銀貨1枚、牛串は1本銅貨3枚だから諦める。占めて銀貨2枚。肉だけで2,000円相当か……まぁ明日の朝ごはん用に少し残して肉サンドにしちゃうからいいか。

 次はパン屋さんに寄って白角食を1欣、銅貨8枚。黒パンがベースの黒角食の方が銅貨5枚で安いんだけど、高くても普通のパンの方がいい。これは譲れない。

 あとは、八百屋さんでサラダ用にレタス1玉が銅貨4枚と、トマト2玉が銅貨4枚。スープも欲しいな。手早くパパっと……オニオンスープ。味付けは塩コショウでいいか。あ!ベーコン!……いや、肉あるから刻んで炒めればダシを取れるか。玉ねぎ1玉は鉄貨6枚と。


 生鮮野菜がちょっと高めだな。じゃがいもとか玉ねぎはやや安め。流通やら保存的な理由か。流音亭ではリバルドさんが農家さんの所に行って買い付けてたから、それで安く仕入れてたのかな。

 肉ってどうしてたんだろう。あの辺りは畜産農家さんは居なかったはず……何の疑問も無く喫茶店の食事をいただいていたな。あるのが当たり前で、興味がないとはこういう事か。喫茶店の常連に猟師のおっさんはいたけれど……今度聞いてみよう。


 さて、帰るにはちょっと時間が早いな。宝飾店のお届け物を取りに行こうか。

 何だっけ、フィレオなんちゃらみたいな名前の……ゴソゴソと依頼書を取り出して……フィオレトヴィー宝飾店。何か聞いた覚えが……まぁ、行ってから考えるか。

 クライアントの所に行くのに食べ物を持って行くのはダメだな。とりあえず一度家に帰ってからにしよう。


 一瞬で家につく方法は無いのかとブツブツ文句を言いながら、玄関までの登山。

 汗だくになって帰宅すると、もう夕方の4時を過ぎていた。

 食材を冷蔵庫に入れて、施錠を確認して下山。また王都に移動する。


 フィオレトヴィー宝飾店まで、王都玄関から徒歩3分。

 ココからさらに王城寄りの『超一等地』にあるって事は、王侯貴族様御用達のお店だったりして。

 そんなお店、日本に居た時でも入った事無いからなぁ。すげぇ緊張する。『庶民ごときが何しに来た』って見られるんだろうか……っと、ここか。


 店の前には豪華な馬車が数台路駐していて、それぞれの馬車の前では執事風の人が主人の帰りを直立不動で待っている。うへー、これはキツいだろうな。

 お店に入ろうと玄関扉に手を掛けると、きらびやかに着飾った淑女の皆様方が羽根扇子片手にホホホと談笑している様子が見える。圧倒的場違いっ……!


 ま、俺は荷物運びの冒険者だし。うん。関係ないよね。うん。卑屈になる事は無い。うん。

 意を決して扉を開けると、シャランシャランと心地良い音が響き渡る。何かすげぇいい匂いがする。これが淑女の香り?

 一瞬、淑女の皆さまの楽しげな会話が止まるも、何事もなかったかのように会話は続く。

 すると、入口辺りに居た店員さんが声を掛けてきた。


「いらっしゃいませ。ご用件をお伺いいたします」


 金色の七三分けをオールバックにした、銀縁眼鏡の高身長な超絶イケメン。またか。またイケメンか。

 身体のサイズに合った艶やかなダークスーツを完璧に着こなした男性の店員さん。

 何と言うかもう何もかも負け。いや、同じ土俵じゃないからセーフ。気を取り直して。


「冒険者ギルドの依頼で参りました。こちらが依頼書となりますので、ご確認をお願いいたします」

「拝見させていただきます…………承知致しました。お荷物は奥の部屋に保管してございます。ご案内いたしますので、どうぞこちらへ」


 店員さんの後についてお店の奥に進む。

 チラリとショーケースを見ると、値札の着いていない巨大な宝飾品がズラリと並んでいる。時価!?

 それらを手に取ってうっとり眺める淑女に、頷いて美しさを称える淑女。

 あーこりゃ住む世界が違うわ。胃がヤラれる。


「こちらでございます」


 促されるまま部屋に入ると、どうやら商談スペースのようなお部屋。

 金の装飾が細かく施された豪華なテーブル&ソファー。棚にも宝飾品・貴金属の類がこれでもかと並べられている。

 そしてテーブルの上には、数冊の本と古いカメラが十数台……あれっ!?

 扉が閉まると、店員さんがにこやかに話し始める。


「店主に代わり、アキラ様のご来店を心よりお喜び申し上げます。アキラ様よりお借りしておりました品々にございます。どうぞ、ご確認ください」

「店主って……もしかして……」


 にこりと笑う店員さん。


「店主より手紙を預かっておりますので、ご一読くださいませ」


 紫の封蝋に亀の印が押された手紙を受け取る。


 ~~~


 アキラへ


 先日借りたトキ様関連グッズを返却する。期限はアキラが王都に来る日だっただろう?

 私は冒険者ギルドに今すぐ登録するよう伝えたのに『この時間なら明日になる』などと抜かすギルドが悪い。

 私は何も悪くないからな?


 それにしても、お借りした機械類の解析だが、これが本当に大変だった。

 団員総掛かりで解析したけど全然間に合わない。現時点で何もわかっていない。

 私たちはトキ様の足元にも及ばない事実を痛感したよ。


 そこで、一つお願いがある。

 書籍については写本が完了しているので返却するが、機械類をもう暫く貸してもらえないだろうか?

 我が国の技術進歩のために、色よい返答をいただける事を期待している。

 君なら必ずや私の願いを聞いてくれると信じている。いや、確信している。


 君の対応をしている男に返事をしてもらいたい。


 アーレイスク・フィオレトヴィー・プレオブラジェンスキー


 追伸

 君が紫の騎士団に入団するという事も特例で可能だぞ?これで君も一生安泰だ。それでは。


 追伸2

 入団の話をしたのは、私が最初だろう?私の本気度を承知してもらえるとありがたい。それでは。


 追伸3

 他の騎士団の奴らも君を狙っているからな。十分気を付けてくれたまえ。それでは。


 追伸4

 ちなみにエミールは新薬の人体実験、シルヴィオは魔獣の罠に、アーダルベルトは魔海獣の撒き餌に君を使うつもりだから話など聞く必要はないぞ。それでは。


 ・

 ・

 ・


 ~~~


 追伸512って何なの?ヒマなの?そんなに書く事あるなら来て話しなさいよ。


 まぁ、それはさておきだ。お店の名前はどっかで聞いたことあるフレーズだったんだよな。

 フィオレトヴィーってアーレイスクのミドルネームだよ。


「あの、このお店ってアーレイスクさんのお店なんですか?」

「当店は紫の騎士団の会計科所属、資金調達部門にございます」


 へー!そんな部門が……というか。


「いいんですか?そのような事を私に言ってしまっても?」

「アーレイスク様からは、アキラ様には包み隠さずお伝えするよう申し付かっております。ご配慮、痛み入ります」

「いやー……そうですか、そうなんですね。という事はもしかして、店員さんも?」


 俺がそう言うと店員さんが姿勢を正す。


「申し遅れました。紫の騎士団会計科上級主計長、フィオレトヴィー宝飾店店長を拝命しております、ヴィクトルと申します。どうぞお見知り置き頂きたく存じます」

「いえ!こちらこそ。アキラと申します。アーレイスクさん……紫の騎士には何かとお世話になっております」

「存じております」


 紫の騎士団の人に、こんなにしっかりした対応が出来る人が居るとは思ってなかった。

 何となく紫の騎士団ってマッドサイエンティスト集団のイメージがあったからね。アーレイスクがアレなだけに。


「ところでアキラ様、アーレイスク様よりお手紙のお返事をいただくよう伺っておりますが、いかがでしょうか?」

「えぇ、そうですね。勿論構いません。ただ、これはアーレイスクさんにもお伝えしていますが、この機械にどういった機能が実装されているかは、随時ご連絡をいただきたいと思います。あと、壊さないでくださいね?ともお伝えください」

「承知いたしました。責任をもってお預かりいたします。この先、私共に伝達事項がございましたら、いつでも当店にお立ち寄りくださいませ。こちらからご連絡を差し上げる場合は、冒険者ギルドの指名依頼、もしくはお手紙にてお知らせをさせていただきます」

「わかりました。それでは今日の所は……っとすみません、依頼書にサインをいただいてもよろしかったでしょうか?」

「承知いたしました。少々お待ちくださいませ」


 依頼書を渡すと一礼して部屋を出ていく店長さん。その場で書かないんだ。お客さんに裏方仕事は見せないって事なのかな。

 でもさ、こんなクソ高そうな宝飾品モリモリの部屋に俺一人残して大丈夫?つい出来心でひとつ失敬してもおかしくないでしょ?しないけど。


 鼻息を荒くして宝飾品を見てたら、店長さんが戻って来た。


「お待たせいたしました」

「ありがとうございます。それでは、本だけいただいて失礼させていただきますね」

「承知いたしました。ご足労をいただき、誠にありがとうございました」

「こちらこそ、ありがとうございました」


 部屋を出て店に戻ると、まだ淑女の方々が盛り上がっていた。

 こういうのもお貴族様の娯楽の一つなのかね。

 玄関先で立ち止まって、最後のご挨拶をば。


「それでは、お荷物確かにお預かりしました。またよろしくお願いします」

「どうぞよろしくお願いいたします。ご苦労様でした」


 冒険者の依頼受けの体でお店を後にする。よし!これで初日の仕事は完了!

 この報酬は明日取りに行くとして、サクっとナージャを迎えに行くか。




【チンチーン!】


 ・

 ・

 ・


 あれ?アミュさんが来ない……ま、いいか。中に入ろう。

 下に降りると、喫茶店のマスターであり冒険者ギルドマスターのご主人であるリバルドさんが俺に気付いて声を掛けてきた。


「おう、来たか」

「ええ、お疲れ様です。アミュさんとナージャは?」

「……」


 何も言わずに奥の方の席に目をやる。え?何?


「は~い、お姫様。リンゴジュースでございます~」

「……ん。ありがと」

「次は?何を召し上がります~?」

「……クリームドーナツ」

「は~い!よろこんで!!!」


 テーブルの上には所狭しとお菓子やら飲み物が並べられており、アミュさんが甲斐甲斐しくナージャのお世話をしている。

 リバルドさんの解説によると、どこぞの姫に仕えている設定らしい。


「朝から?ずっと?」

「ああ」

「よくもまぁ飽きずに……楽しんでるならいいんですけど」

「まぁなぁ……」


 するとナージャが俺に気付いてひらひらと手を振ると、邪魔すんなとばかりにアミュさんがこちらを睨む。

 俺の存在にやっと気付くと般若の形相から菩薩の笑みに。


「いつ来たの!?おかえり~!」


 ええ、ナージャに夢中なのはわかりますけどさ。


「はい、ただいまです。つい今しがた着きました。それにしてもナージャ、今こんなに食べたら晩ごはん入らないだろ?」

「……甘いものはベツバラ」

「いやアキラくん、違うのよ~!食べさせちゃったのは私だからさ。ナージャちゃんはなんも悪くないからね?」


 孫を庇うおばあちゃんみたいだと思った。


「晩ごはんはしっかり食べてもらいます。あと、毎日預かっていただくのはご迷惑でしょうから、明日は仕事に連れて行きますよ。ペットの散歩とかもありましたから―――」


 アミュさんが一瞬ですっ飛んでくる。

 距離にしておよそ15m。何ですかその驚異的な跳躍力は。


「ナージャちゃん……毎日……来てくれないの……?」


 涙目で訴える。やめてください。あーコレどうすんですかリバルドさん。いや、露骨に視線を逸らさないでください。


「寂しいな……」

「いや、いやいや」

「あしたはお洋服を……」

「ご迷惑を―――」

「あさってはお散歩……」

「いやあの、聞いてます?」

「しあさっては……やのあさっては……」


 そんなにか。そんなに楽しみにしてたのか。アミュさんがじりじりと距離を詰めながら俺に迫る。

 するとさっき目を逸らしたリバルドさんに肩を叩かれる。


「コイツがこう言ってるから迷惑ではない。気にするな」

「はぁ、そうですか」


 という訳で明日以降も引き続き流音亭にナージャを預かってもらう事になった。

 まぁ、こう言っていただくのはありがたい事だよな。

 帰り際には「泊まって行かないの……?」はい、それはナシです。


 わかりましたから。月に一度ぐらいは。週イチ?いやそれはいくらなんでも……はい、じゃあ週イチで。はい。

 菩薩の笑みの奥に潜む般若に気押される形で、ナージャの週イチお泊り会を約束して流音亭を後にした。




 楽しい晩ごはんの後は、露天風呂を満喫。

 混浴などというハレンチな事はせず、女性陣に先に入ってもらって、俺はひとりで。

 広々とした露天を独り占めするのは贅沢だねぇ……。


 風呂上がりにリビングでまったり寛ぎながら本日のイベント報告会。

 俺とエレナさんはメープル酒のエラーブルを、ナディアとルカは麦茶。

 予想通り晩ごはんをロクに食べなかったナージャは、ルカの膝枕ですうすう眠っている。


 お疲れ様の乾杯の後で話題になったのはカツアゲ未遂の件について。

 ナディアの話も聞きたかったけど、かなり厳しい守秘義務があるとの事。そりゃそうだ。

 未来の王妃様に仕える立場、軽々しく内情を話すのはありえないな。


 さて、エラーブルを一口入れたエレナさんが口火を切る。


「若手に限らず、食い詰めた冒険者が街中で騒動を起こすのは、王都だと普通にある事なのよ」

「世知辛いですねぇ」

「あとレナートが言ってたのは、半分正解ってところね。上位のパーティーは所属する人数も多いし、危険な依頼はその分準備だの何だのでお金もかかる。高額報酬を手放す訳にはいかないから、依頼を独占状態にしちゃうのよ」

「でもそれは血気盛んなヤング達は納得しないわ。食って掛かってボコボコにされないための落としどころとしては、レナートさんの説得内容はベストと思いましたよ」


 エレナさんが2杯目をおかわり。ペース早いですね。

 今日はナディアがお酒を入れてくれて、完全に聞き役に徹している。

 そして仕事に慣れるまではアルコールを控えるとの事。しっかりしてるなぁ。


「何にせよ、恐喝してきた子をレナートに引き合わせるあんたの度胸は大したもんだわ。何?俺に手を出すとバックが黙ってないぞ的なアピール?」

「いやいや。それは考えてないです。こういった行動に出る子なら、どうせ俺が何を言っても付いて来ないだろうと思って一緒に働こうぜ!って言ったんですよ。それで引き下がってくれるかなと思いましてね。そしたら思いの外従順について来まして。まぁ、最初は不貞腐れてましたけどね。マジメに掃除もしてくれましたし、結果としては良かったんじゃないかな。まぁ、レナートさんにはご迷惑をお掛けしてしまいましたが」


 エレナさん、3杯目の水割りをちびりちびり、クイっと。今日はペース早いですね。水じゃないんだから。


「その子、『俺、赤の騎士と知り合いだし』みたいな事を言い始めて、上位のパーティーにケンカ売ったらどうする?」

「いや、さすがにそれは……無いと思いたい……」

「レナートのことだから、あんたには『どんどん巻き込んでください』って言うかもしれないけどさぁ」

「はい、仰る通りです。軽率でした」

「そういうのに甘えたらダメよ?あ、ナディア。気持ち薄めでいいわ」

「はい、薄めで」


 4杯目の水割りを『ぷはぁ』と飲み干すエレナさん。

 そんなにカパカパ飲まれますと、また俺がソファーで寝ることになるんですから。もうちょっと落ち着いてね?


「でもまぁ実際問題として、冒険者の乱れっぷりはギルドでも都度問題になってるからね。出来るだけ依頼を独占させないように、上位パーティーに指名を出して地方に派遣させるって事も対策としてやってるみたい。最近は妖魔の出没自体が落ち着いてるから、そこまで多くないようだけど」

「へぇ~、ギルドは冒険者に関与しないスタンスなのに?」

「指名依頼を出すのは軍として。公共事業の業者指名って感じよね。ホラ、王都来る間にグレンフェルってあるじゃない?城郭都市の。あそこに派遣するのが通例になってるのよ」

「詳しいですね」

「仕事柄、ある程度の情勢は知っておかないといけないからね」


 5杯目からはエラーブルミルク。ちょっと顔が赤らんできたな。


「依頼の内容を選ばなければ仕事はたくさんあるんですけど、1件あたりの報酬は確かに安いんですよね。こうなるとパーティー組んで行動する意味が全くなくて、それぞれ別々に依頼を受けて、夜に集まって公園で寝泊まり。キツいな」

「昔々から冒険者ってのは、苦労して、つらい思いをたくさんして、たくましく生きて来たのよ」

「そう考えると、俺は随分と恵まれてたなぁ。少なくとも衣食住に困った事は一度もない。コッチに来てすぐレナートさんのお世話になって。黒村に飛ばされた後は流音亭にお世話になって。今は俺たちの家がある」

「でもあんただって結構色々やって来たじゃない。文句も言わずにさぁ。それはそれで大したもんよ」

「いや、文句は結構言ってましたけどね。肉体的なキツさはそこそこ慣れましたし、日本で仕事してた時の方が精神的によっぽどキツかったと思いますね」

「あー、何?不幸自慢?社畜自慢?あんたは自分の事だけ考えればいいから楽よねぇ~」


 あ、絡みスイッチ入った。

 6杯目をクイっと飲み干してグラスを置くと、まじまじと俺を見てエレナさんが訊く。


「ナディアはコイツのどこが良かったの?」


 コイツ呼ばわり。いやまぁ、いいんですけどね。酔っぱらったエレナさんの証みたいなもんだし。

 そんな割とひどい発言に対してナディアがにっこりと答える。


「エレナ様は、よくご存知ですよね?」


 やだこの子、そんな事を話してたの?それはさすがに照れるじゃない。

 と思ったらエレナさんの顔がみるみる赤くなる。


「ま、いいわ。そんな事」


 自分で振ったくせにひどい言いぐさ。理不尽だ!

 その後は話題が変わってアーレイスクの店の話や流音亭の話などをつらつらと。

 エレナさん情報によると手紙に書いてあった通り、白の騎士エミールさん、青の騎士クリーゼル中将、緑の騎士ヴェルデ中将がそれぞれ俺への指名依頼を出す準備をしてくれているらしい。

 ご指名をいただけるのはとてもありがたい事ですが、何をやらされるんだか全然わからないのが怖い。


 さて、小一時間ほどでエレナさんが沈没したので寝る準備。

 ルカが寝コケてるナージャを部屋に連れて行って寝かせて、ルカも自分の部屋に入って行った。


「じゃあルカ、おやすみ」

「ルカちゃん、おやすみなさい」

「はい、皆様お休みなさいませ」


 エレナさんは俺らの部屋のベッドでナディアと一緒に寝る事になったので、俺はソファーで寝ることにした。

 まぁ、しょうがないっす。


「じゃ、電気消すよ。ふたりともおやすみ~」

「はい、おやすみなさい」

「うぅ……あたまいたい……おやすみ……」


 さて、明日はどんな仕事があるかね。彼は……クルトくんたちはマジメに仕事をするのかな……。

 そう考えて瞼を閉じると、30秒もしないうちにソファーに吸い込まれるように眠りについた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る