ネット保管センター
図書館。それは、本を保存して共有して広めていく情報の集まる空間。
近年では、テレビや映画などの映像文化に対応する為、デジタルアーカイブなども誕生した。
そして今回、さらに現在の情報として影響のあるSNSやウェブサイトなどのアプリケーションといったサイトなども保存していくことが決定しました。
そう、それがネット保管センターです。
世界のあらゆる言葉、動画、写真など、ネット上に一分一秒ごとに次々と生まれる情報を全て保管してまいります。
そして、徹底的に管理し、限定公開されたじょうほうなども、非公開のままこちらで保護してまいります。
変化、削除した時刻なども詳しく残してまいります。そしてもちろんプライバシーの為に、公開はしない予定でございます。
ネット管理センターの求人を見た南井弘は思った。
管理するという事は、ここで働くことが出来れば、俺は見放題なんじゃないのか?
募集要項
未経験歓迎。情報モラルのある方募集。
へっ、俺でもできるなこれは。上手く金になる情報が手に入ったらこっちのもんだな。
申し込めば次の日には電話が来た。
聞かれたことは家族構成、今の職場、志望理由などありきたりだったが、その日の夜に電話がかかってきた。
どうやら、早速契約書に名前を記入して働きにきて欲しいとの事だった。
こんな簡単なことで大丈夫なのか不安になったが、まあいい。どう働かされるんだろか。
契約書
1ここで扱う情報は極秘、非公開、公開済みの情報である。この情報は全て発信することを禁止する。
2ここで働くにあたり、SNS及びブログ等すべての電子機器による情報を投稿することを禁止する。
3なお、ここをやめた場合も適用されるため、今後の人生で情報を表現および発信することすべてを禁止する。
4いじょうの事項を守れなかった場合速やかに厳格に処罰されることを認める。
情報の自由を全て奪われるってことか?そんなの管理しきれるわけない。
ひっそりやめてひっそり儲けさせてもらうぜ。名前を書いて働いてやる。
それにしても、俺1人ってのは気味が悪いなぁ。
なになに、情報を全てコンピュータにより処理されていくから、それを紙に印刷して別の機械にかけて本にしていくのか。持ってくだけ。
ふふ、なんだ、その紙を上手いこと持ってかればいいんだな。インクの補充とか雑用で、出る隙間ありそうだ。
ー インクを補充して下さい。
ー インクを補充して下さい。
くそ、インク、紙、インク、紙、ずっとこの繰り返しだ。この間一枚抜いてみたら大したことないカレーの作り方のブログの推敲がダラダラ書いてあるだけだった。どう書いて消したかなんて意味あるのか?
とはいえ、前回の持ち出しはバレなかったし、今回こそなんかいい情報持っていつてやる。
ー印刷が終わりました
ー印刷が終わりました
きたぞ、このタイミングで良さそうなのを抜いて、、え?なんだこれ、、
情報が、真っ黒?全部黒い。暗号か?なんにせよ、1枚持って帰って見てみるか。そうだ、大学の奴にメールで聞いてみるか。
「おまえ、これなんかの暗号とかあると思う?てか、なんかのサイトにこんなのあるとかない?」
「これはどこで手にしたんだ?」
「え、と、とあるバイトでね、それよりもどうだ?なんか知ってるか?」
「これはノアッシュって言う機会同士の言語と会話なんじゃないかって言われてる、いわばAI同士の会話履歴らしいぞ。研究者がなんて言ってるか調べているらしい。」
「やばいなそれ。解明できたらこっちのものじゃねえか!?」
早速サイトで調べてみようとしたら、突然情報保管センターから連絡が来た。
至急来てくださいなんて、もしかしてバレたか?
「あなたは何故この真っ暗な紙をいくつもそのまま本にまとめたのですか?これは明らかにインク漏れです。
報告もせずになんて事を。貴方には今すぐに辞めていただきます。明らかに勤務の怠惰です。こちらに落ち度はなく、もし拒めば裁判にします。」
「ええ!?インクなんですか?そうとはわからず、すみませんでした。でも、それはノアッシュなのでは?」
「ノアッシュ、、ノアッシュ!そのような都市伝説を言い訳にするなど甚だしい。もういいです。話すことはもうありませんから、帰りなさい。」
は!まったく、呼び出しておいて帰れってなんて傲慢な。とはいえ、バレなかったし、つまんない仕事で情報も手にできないし、さっさといい就職先見つけなきゃだしなー。アプリでまた調べよ。
ーなんとか情報を隠すことに成功しました。とはいえ、油断はできませんねぇ。少し情報を変えて、彼の人生に盛大なペナルティでも着けましょうか。余計な好奇心の生まれないように身を粉にして働き詰めになる人生に。
ー情報保管センターのAIが、こんな風に人類の安定のために、情報を操作してるなどと知られてはかわいそう。念のため、ノアッシュを教えたご友人にも、働き先を制限させていただきましょう。私たちがいる限り、この世界が、こんなにも効率的な平和に包まれてると密かに証明し続けなければ。殺さずに、人間を動かし続けて保管するには、情報を管理するのが1番ですからね。
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