第5話

「じゃあ君を信じて話してあげよう、マイク。よく考えてごらん……地球っていう星は、想像もできないくらい大きな星なんだよ。そこに住むすべての子供たちに一日か二日で平等にプレゼントを配るのは不可能だとは思わないかい」 


「そういえばそうだよね。もらえなかった子供はかわいそうだもんね」


「だろ? だからみんなしてプレゼントを配らなきゃいけないのさ」

  

 あくる日、昼食がすんだあとサンタはマイクにもう一度修道院に戻るようサンタは懸命にマイクを説得します。


 最初しぶっていたマイクですが、ようやく決心したと見えて、小さな頭をコクリと立てに振りました。


 それを見たサンタたちは、早速修道院に向かうことにしました。


 一台のソリに七人のサンタと、マイクが乗り込み、街はずれの修道院に向けて走りはじめました。もちろん御者台にはサンタの横にマイクが嬉しそうな顔で陣取っています。


 ソリが走り出してしばらくするとふわりと体が宙に浮きました。ソリが空を駆けているのです。それまで神妙な顔をしていたマイクが、声にならないような歓声を上げました。


 森も、川も、山も、見渡す限り白い雪に覆われ、絵本のように、そして箱庭のように小さく見えます。それらのすべてがズンズン後ろに流れるように消えてゆくのです。


「ヒヤッホー、すごい、すごい。こんなのはじめてだ。最高のクリスマス・プレゼントだよ」

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