第4話

 マイクは母親の、「しばらくしたらきっと迎えに来るから、それまで我慢しておくれ」といい残した言葉を信じて、迎えに来てくれるのを楽しみに毎日を過ごしていました。


 一年が経ち、二年が過ぎるようになると、だんだん母親が恋しくなったマイクは、修道院を脱け出してお母さんを探すことにしました。修道院を出て、街に行けば必ずお母さんに会えると思ったのです。


 マイクは、毎日足が痛くなるまでお母さんを探し廻りました。しかし、どこを探してもお母さんの姿はありませんでした――。


 それを聞いたサンタたちは、マイクのベッドから離れてどうしたものか相談をはじめました。


 結論は決まっていました。六人でマイクのお母さんを探すことです。あとのひとり、つまりマイクをここに連れて来たサンタが、マイクの面倒を看ることになりました。


 みんながマイクのお母さんを探しに行っている間に、マイクにはどうしても聞きたいことがありました。それはここに来てからずっと気になっていたことです。


「ねえ、サンタさん。どうしてサンタさんが七人もいるの? ぼくいままでサンタクロースはひとりしかいないと思ってた」


 マイクは真剣な眼差しでいいました。


「話してもいいけれど、これはマイクしか知らないことだから、誰にも話さないって約束してくれるかい?」


「うん、約束する」


 マイクは目を耀かせるようにしていいました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る