エピローグ
(私は、本当は夢をかなえたかったんじゃなくて、一緒に夢を見てくれる仲間が欲しかったんだ……)
夜の闇の中。
だれも見向きもしないその場所で、茂みで隠れるよに存在していたのは傷ついた黒猫だった。
――もう大丈夫だからね、お医者さんに見せてあげるからね。
その黒猫に声をかけて抱き上げて走るのは少女だ。
少女は一生懸命に町の中を走る。
だがその足取りはお世辞にも迷いのない物ではなかった。
一区画、二区画と走って、それが数十を数えるまでになっても、少女は臨んだ場所へはたどり着けない。
けれどもそれでも少女は諦めなかった。
冷たくなっていく黒猫を抱えながら、懸命に現実に抗い続けた。
――きっと助けてあげるから、必ず助けてあげるから。
今まで関わった事の一度もない、触れ合った事も一度もない小さな生き物に、必死にそう言い聞かせながら。
その光景をある少年が見ていた。
だから、それは始まりの記憶だった。
その出来事が、二人の未来を、世界の命運を決める事になろうとは、その時の子供達は知らない。ただただ知らずに。知らないままに出会った。
インフィニティ・ブルー 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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