王の後悔


 やがて城の時計が夜明けを告げます。


 雨音が急にやみました。


 この国の人たちが、今までみたことのない光景が現れました。



 地平線に 輝かしい光が現れました。

 ぐんぐんと 上に上にと昇っていきます。



 朝日です。



 雨は降りやみ、七色の橋が天空にかかっています。


 この国ができて 数千年、誰もが憧れていた 晴れた空が現れたのです。


 王さまも、王族も、国民も、ただただ その爽やかに素敵な光景に 見とれています。


 麗しい日の光が 国を照らしています。


 照らし 輝かせているのです。


 …… 王さまは 気付きました。


『坊主、


 いや お坊様



 ご ご ご法師さま!』




 約束の七日目の日の出と共に 降りやんだ雨。

 それは、


 首を刎ねられる直前まで、祷りに祷った 若き僧侶の力によるものだと。


 

「ご法師さまの お首を、お首を!」




 王さまの命により、罪人として晒されていた 若き僧侶の首は 城門からおろされ、綺麗に 洗い清められました。


 さらに 打ち捨てられていた身体と共に、真白き 絹に包まれました。


 真っ白な絹。


 これを纏えるのは、この国では王族だけです。




 そして


 その胸の上には、


 この国の王さまが代々受け継いできた 王家のシンボル 『金の鈴』が乗せられました。


 いくら悔やんでも、失われた命は 戻ってきません。

 王さまは 僧侶を、せめて王族として遇しようとしたのでしょう。



 

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