祷りの果てに


 翌朝の日の出と共に、僧侶は晴れを願う祷りを捧げ出しました。


 食事は わずかな粥だけです。

 その粥さえ口にする暇を惜しんで 祷りに祷り続けました。



 自らの命が惜しいからではありません。


 恩賞を期待してのことでもありません。




 ただただ この国の人たちに 『晴れ』を知ってもらいたいからでした。


 一日、二日、祷れども 祷れども、雨は降り続いています。


 三日、四日、そして五日。


 まるで僧侶の祷りを 嘲笑うかのように 雨は降り続いています。



 

 六日目になって さらに 雨は激しさを増してきました。

 それでも 若い僧侶は祷り続けています。


 六日目の夜もふけ、七日目となりました。


 この日の夜明けと共に僧侶の命は 消え去ります。



 僧侶は祷りに祷り、さらに祷り続けています。


 しかし 雨が降りやむ様子は 全くありません。



 

 やがて、雨の中 空がしらじらと明けてきました。



 城の中にある時計では 日の出まで まだ少しの時間があります。

 しかし 王さまは我慢ができませんでした。


 「えぇーぃ、もう我慢ならん、あの偽坊主の首を 今すぐ刎ね、城門に晒すのじゃ。国をたぶらかす奴はどのような目に合うか 思い知らせてやれぃ!」



 若き僧侶は 約束の期限を前に、無惨にもその首を刎ねられ、犯罪者として、城門の上に 首を晒されたのでした。


 

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