若き僧侶
若い僧侶は王さまに訴えます。
「私は今も修行中。必ず雨を降りやませるか自信がありませんが、どうか祷らせてください」
と。
しかし、王さまはすでに疑心暗鬼に陥っています。
若い僧侶の言うことなど、とても信じられません。
…… この偽坊主めが、思い知らせてやる ……
王さまは、今までと違う別の条件を出しました。
『前金は一切出さない。
祷りは城の一室に鍵をかけ、その中で行う。
七日の間に 雨が降りやまない時は、
その首を刎ね、七日の間、城門の上に晒す』
こんなにも厳しいものでした。
けれども若い僧侶は、その条件を全て受け入れたのでした。
しかも、恩賞など一切 受け取らないと。
王さまは驚きながらも、きっとこいつも もし晴れたなら、莫大な金品を要求するに違いない、と 尚も懐疑的です。
でも、もしも晴れたら 民は歓びそれでよし。
雨が降り続けば 王家を騙し続ける者への見せしめとなるのです。
こんなに 都合の良いことはありません。
雨が降りやまないこと、そして 騙し続けられたことへの焦りと怒りが、王さまの心をこんなにも醜くく 変化させていたのでした。
若い僧侶は、城の中の一室に閉じ込められました。
じめじめとした 暗い、まるで牢獄のような部屋です。
普段は 犯罪容疑者を入れておく部屋です。
牢獄ではありませんが まるで 犯罪者扱いです。
この部屋の中で、僧侶は明日の日の出と共に雨を降りやませる祷りを捧げるのです。
七日後の日の出までに 雨が降りやまない時は、彼の命は 最早この世のものでは無くなるのです。
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