テストテストテスト142

『私だ。すぐに桐桜華皇国圓、国債、株の処分を国家主席に進言しておきたまえ』


『大統領に繋いでくれ。緊急事態だ。我が国と桐桜華皇国との付き合い方を見直す必要が出てきた』


(好き放題言ってくれる)


『ホスト国がゲスト国VIPを先に脱出させたことについては見上げ根性だがな』


『だからと言って一国の主が、死にかねないリスクを選択してはならない。国民への責任を放棄したにも等しい。同盟国関係にある我々が対しどれだけ迷惑をこうむるのか』


(まぁこの世界における元首と私たちの世界の元首とは、ありかたが随分違うからね)


『所詮はまだ18の少女だったか。国家元首を務めるに経験も浅く、覚悟も薄かったのだろう』


 場所はこの国で最も安全な場所の一つ。皇住まう御所、皇居内の広間。

 大帝国ホテルからヘリで脱出し、搬送された先。


 本日の会合に招待された各同盟国からの駐桐桜華大使ら、安全が確保されるまでこの場に保護される話を承諾してからは、本国にひっきりなしに電話していた。


(否、私たちの世界の方が時代遅れなのか)


 大使の傍には大使付きのボディーガードがいる。それと別に、シキが護衛兼接待役としてつかせた、各学院からの広報訓練生もいた。

 ルーリィやシャリエールもその例から漏れない。


(時と共に合理化に則り、私達の世界の元首の在り方も、この世界の様になるのかもしれない)


 さまざな国の大使。扱う言葉も様々。

 飛び交う各言語を前に、訓練生たちは耳にしても理解できないから動揺を隠せていなかった。


 ルーリィとシャリエールの二人は違う。この世界で暮らすにあたり、言語チート能力を与えられていた。


 本来なら、桐桜華語すら扱えない。

 親友である灯里やクラスメイトの三組だけじゃない。

 《記憶を失った一徹》とだって、このチート能力が無ければ本当は会話すらできなかった。


 だから与えられた能力によって、全言語、彼女たち二人は手に取るように理解できた。


『『『『『Oh!』』』』』


 その時、歓声があがる。

 待機室の壁に掛けられた大型テレビ。パッと映った先……


「……え……?」


 脱した大帝国ホテル大広間の光景。


 映像は迫りくる第三形態群の前に、シキを守ろうと両手広げ有栖刻長官が立ちはだかった場面。


「あれは……まさか……」


 その次。

 腕二本生やした大きな銀色球体が姿を現した。

 吶喊してくる第三形態3体を弾き、捌き、軌道をコントロールした。

 

「る、ルーリィ様。あれって……」


 展開に、シャリエールも気づいたようだ。

 ルーリィに思い当たってシャリエールも同じ帰結に辿り着く。なら、二人の予測が外れるわけが無い。


「「銀色マンジュウ」」


【GIOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!】


 第三形態三体を吹き飛ばした銀色マンジュウの、「我はここにあり」の嘶き。

 スピーカーを通って皇居内のこの打ち合わせ室に轟くから、映像を見る全員、びくりと身を震わせた。


「あの場に銀色マンジュウが?」


 銀色マンジュウは爆散。瞬間で、その場すべての第二形態が姿を止めた。


 爆散したように見せかけ、自らの身体を数えきれないほどのワイヤーに姿を替え、ホテル内大広間中にはりめぐらせた。

 勿論、第二形態たちをも縛り付けたのだろう。


「ってことは、あの場所には……」


 百にも千にも化けられる異次元生命体の《千変の神鋼マスキュリス》。

 これを相棒とし、武器として振るう者はこの国では吐いて捨てるほどいた。


 だが、異能力を振るえる者らは異能力に頼りがちになる。

 使い慣れた武器形態以外に姿を変えて使役する者は圧倒的に少なく、《千変の神鋼》のスペックを十分に使える者は皆無と言っていい。


「……ここに一人だけイレギュラーが存在する。異能力が使えないゆえ、《千変の神鋼》のスペックを全て引き出すことで異能力者に食らいつこうとする無能力者が」


「この国広しと言え、そんな使い方をされる《千変の神鋼マスキュリス》は、銀色マンジュウと名付けられた個体以外にいません。それがあの場にいるなら……」


『『『『『HOOOOOOOOOOOOOO!♪』』』』』


 皇居内待機室で歓声が上がったのは、画面内、ホテル大広間天井から人影が二つ降って現れたからだ。


【ったくぅ、やれやれだねどうも。無力無能な俺が言っちゃいけませんが、無力無能が《アンインバイテッド》を前に大立ち回り? 強過ぎです】


(そ……んな……)


【なんなら長官が三縞校に入った方がよかったんじゃないですか? 俺なんかよりもずっとずっと上手くやれますよ。間違いなくね】


 有栖刻長官と交わす会話。画面備え付けのスピーカーから流れる落ち着いた声。ルーリィ、シャリエールにとってよく聞き馴染んでいたもの。

 木之元ネネと共に新たに広間に出現したと同時、スクリーンの中では女皇と長官の命が辛くも救われたのだ。


「「なんで/どうして……」」


 ルーリィとシャリエールは違う。ギュッと拳を握って下唇を噛んだ。


 始めはスクリーンに、「お兄ちゃんが作ってくれたチョコバナナは美味しかったけど、自前のモノが良いな♡」と書かれた黒字のパーカーの背中しか映っていなかった。

 やがて、やっと振り返る。


【き……君は】


【第一魔装士官桐京校……じゃなかった。第三学院三縞・・・・・・……でもなかったな・・・・・・・


 それはこの国で多く使役される《千変の神鋼マスキュリス》のなか、唯一全ての能力を引き出される個体、銀色マンジュウの使役者。

 最近のすれ違いが酷すぎて、とうとう破局とまでなりかけているルーリィにとっての婚約者。

 シャリエールが身も心も捧げ愛する男。


桐桜華皇国は・・・・・・皇宮警備隊・・・・・所属・・……予定? 山本一徹・・・・……皇宮護衛官・・・・・


「「一徹/一徹様……」」


 山本一徹が、そこにいた。


【役不足には違いないが、それでも一応助けに参りました。そこんとこ、ご協力のほどよろしくお願い頂かにゃあ】


 呆れたように、わらっていた。


「「ッツ!?」」


 状況をスクリーン越しで見るしかできない二人は息を飲む。


 有栖刻に向かって振り返った一徹は背後への警戒がお留守。

 そこに、身動き取れていなかった第二形態の4,5体が飛び込んでいた。


【大丈夫じゃないです? どういうわけか任地を放棄して追いかけて来たらしい魔装士官にあるまじき奴らは、誰から見ても引く手あまたの、超絶優秀猛者たちですから】


 一徹だって気付いている……のに、向かう第二形態を一瞥もしない。


 そこから秒と経たない。

 一徹の背に迫る第二形態は、一瞬にしてバラバラに四散した。


【【【第一魔装士官学院桐京校! 蓮静院小隊通称は《オペラ》! 見参っ!】】】


「え? これは、どういう……」


 そうしてほどなく、その顔ぶれが完成してしまう。

 

 一徹とネネがシキのもとに到着してから、その動画はルーリィ達にも届き始めた。

 見せつけられるは、一徹が自分とシャリエール以外・・・・・・・・・・・・・・の女子数人を率いている光景・・・・・・・・・・・・・


 陸華も海姫も空麗も、山本小隊ではないはずなのに・・・・・・・・・・・・・

 一徹の傍・・・・

 そこは……ルーリィとシャリエールが本来立っ・・・・・・・・・・・・・・・・ているべき場所・・・・・・・


【一徹君、いや、山本皇宮護衛官。到着、大義であった・・・・・・


【陛下に置かれましては、随分な無茶をなされたご様子。ご自分の選択で御身自身を最悪な危機に追い込んだのでは?】


【こういう時は『健勝なるご様子』って建前でもいいから持ち上げて……ってぇ……嘘。分かってるよ。愚かな選択をしたかもしれないこと、それで多くの者を死地に引きずり込んでしまったこと】


 ルーリィとシャリエールに衝撃をもたらしたことなど、違う場所にいる一徹が知るはずもなく。


 四季は普段見せない、しおらしい顔で俯く。


【んま、悶着はここまでとしましょうか? 何はともあれこの状況をどうするか。そこが重要です。あまり落ち込まないでください】


 さぁまた一つ、ルーリィとシャリエールの心を貫く。

 呼びかけた一徹は、言いながらシキの頭を撫でるから・・・・・・・・・・。シキの方は少し笑って、気持ち良さげに一徹の掌を受けていた。

 ルーリィやシャリエールですら・・・・・・・・・・・・・・頭を撫でてもらったことなどな・・・・・・・・・・・・・・いというに・・・・・


【長官閣下、状況は?】


【壊滅だ。恐らく大広間にいる我々以外の生存者は……】


【木之元さん、どうだ?】


【聞かれることは分かっています山本さん。ホテル内のシステムハッキング、終りました】


【話も仕事も早くて助かる】


 陣形をホテル大広間の全員で取った。

 一徹と《オペラ》の三人で四方に向け警戒する。中心にシキと長官とネネを据えていた。


【監視カメラ映像を確認したところ、厳密に言えば生存者ありです。《皇宮警備隊退魔部》、正規魔装士官。闘う程には動くことは出来ず、防御陣結界で接近を辛うじて凌いでいるようです】


【異能力も、体力と同じで消耗しきったら終わりだ】


 一徹は別とし、《オペラ》三人は間違いなく警戒に値すると見たか、周囲の《アンインバイテッド》はまだ様子を見るにとどまった。


【作戦は2分割して行うか。まず俺が陛下と長官閣下を突入口の窓から外にお連れする。木之元さんも俺と来い。監視カメラ映像から生存者の位置を把握。救助班に場所を通達】


【この木之元、異論はありません】


(この世界で、四月に再開した時の《記憶を無くした一徹》は、あんなに真っ新まっさらだったのに……)


【海姫、例えば……だ。お前ら《オペラ》三人をこの場に一時残す。木之元さんの指示した場所に急行。《アンインバイテッド》と交戦しつつ生存者を回収しろって言ったらどうする?】


【どうするって……】


【いや、最低な案ってのはわかってる。生存者とお前たち三人の命を、俺は天秤にかけているようなこと言ってる。死なせるかもしれない……のに、提案しちまってる】


【あぁもう! だからアンタはいちいち、自分以外の事に気を遣い過ぎなのよっ!? 好きに使いなさいよ・・・・・・・・・!? アンタの期待の全てを・・・・・・・・・・アンタの期待以上にこなして見せるから・・・・・・・・・・・・・・・・・・!】


【うん、実は海ちゃん今、滅茶滅茶嬉しかったりするよ・・・・・・・・・・・・・? なんてったって山もっちゃんに頼られて・・・・・・・・・・・しかも心配までされちゃって・・・・・・・・・・・・・


【ん~。いけませんよ陸華さん。自分の気持ちについても・・・・・・・・・・・海姫さんを言い訳に乗せて伝えて・・・・・・・・・・・・・・・しまうのは・・・・・


(闘いも戦場も知らなかったのに。平穏無事の環境で生きてくれれば、それでよかったのに)


 今の一徹は、その猶予を利用してまで作戦会議するほどに胆力を培っていた。


(何かあっても私が、私達が……一徹を守り、支え、助けるはずだった……のに)


【作戦について一つ修正したい。この場から離脱させるのは忠勝とネネだけでいい。忠勝とホテル外に連れ出されたら、ネネは長官を守りつつ情報を寄越してくれるね?】


【はぁ? 何を言ってるんです陛下!? 貴女様だけは命を守る行動をとってもらわねば! 木之元さんは本気で心配して、を貴女様のために連れてきて……】


 作戦会議中、新たな申し出に一徹は驚愕の顔を見せる。


「「ッツゥ!?」」


 ハイ、衝撃第三波目。

 

【お願い。一徹君】


 四季は一徹の背中に抱き着いた・・・・・・・・・・・・・・顔を身体を、背中に預けた・・・・・・・・・・・・

 その光景を・・・・・、スクリーン越しにルーリィ達は見せられる・・・・・・・・・・・


【……陛下、覚えてます? 三縞校文化祭の時にも無茶をやらかした貴女様に、私が、どのような扱いをしたか】


【えっ?】


【もう……『女皇様扱いは出来ねぇぞ』ってね?】


【……あっ】


(あぁ、嫌だ……)


【前に出ろ。戦列に加われ。シキ・・


一徹くん・・・・……うんっ】


(止めて一徹。お願い……だから……)


 モニター内ではどこか、一徹とシキの中で一種の空気・・・・・・・・・・・・・が出来上がっている・・・・・・・・・というか。  

 ただ守られる存在のみにあらず。共に戦う同志として一徹が認めたこと。シキの気持ちを高揚させる。


 それは構わない。問題は……


【第一学院生徒会長、しかも日輪弦状小隊長でありながら、こういう状況での小隊人数制で何かを遂行するのは、実は初めての経験で。今だけは君に従う。君だけに従う・・・・・・


【はっ、神なる力を持ちし小隊員か。心強さがヤバいったらないねどうも】


(そこは私が立つべき、私だけに許された居場所。君の……)


 呼びかけに応じ、中心部で囲まれていたシキが前に出たことで、4人から5人で陣形を組んだこと。


(君の……隣……)


 そしてシキが、一徹の隣に立ったということ。


【では再確認する。初手、俺と木之元さん、長官閣下でこの場を離脱】


【木之元訓練生、離脱先で長官閣下を護衛しながら、逐次ホテル内の状況を伝達します!】


【僕ら《オペラ》は山もっちゃんが離脱してから、帰ってきた後も《アンインバイテッド》を駆逐しつつ、生存者の回収だね!?】


【長官は無能力者だから、私が本気を出したらその余波による危険があった。《オペラ》三人ともに各元素精霊の加護持ちだし、一徹君に関しちゃもう・・・・・・・・・・無力無能という認識はいらないでしょ・・・・・・・・・・・・・・・・・? 余波は気にしない。全力で行かせてもらう】


【生存者確保完了後、全員でホテルを脱出する。これは殲滅戦じゃない。いいか皆、これ以上の無理は絶対にするな。朝食前には……生きて帰るぞっ!?】


 終らない・・・・

 というより、別場所で眺めているだけしかできないルーリィ達が何を思い傷ついているかなど、修羅場にいる一徹が知りようはずない。

 

【じゃあ行くとしようかぁっ!? 山本小隊カッコカ……】


【……(カッコカリ)なんていらない・・・・


 終らせない・・・・・


【えっ?】


【《山本小隊(カッコカリ)》だなんて、嫌だよ・・・


 一挙手一投足で、ルーリィとシャリエール達に何を思わせているか一徹が知らなくとも……


【じゃあ何だい? 竜胆陸華はアルシオーネ・グレンバルド、高虎海姫はエメロード・ファニ・アルファリカ、亀蛇空麗がナルナイ・ストレーナス。ネネはリィン・ティーチシーフで、私は・・……ルーリィ・セラス・トリスクト・・・・・・・・・・・・・・?】


(なっ!?)


一徹君にとって所詮私達は・・・・・・・・・・・・ルーリィ君やシャリエール君の代替品・・・・・・・・・・・・・・・・・だとでも言うつもりかい・・・・・・・・・・・?】


 あえて・・・動画で光景を皇居内会議室モニターで見せつけているシキは、わざと終わらせてあげなかった・・・・・・・・・・・・・・


【そ、そんなつもりあるはずない!?】


【そうかな。正直、ちょっと失礼だよ。仮メンバーってことはさ、君にとっての一軍女子隊員じゃないんだ。それが意識的かそうでないかかかわらず】


【俺は……】


【でも私たちは率いられる以上、全力で君にとっての一軍女子隊員となったつもりで戦う。なのにそれでも一徹君にはやっぱり、ルーリィ君たちなの・・・・・・・・・?】


(待て。まさかシキが一徹に言ってるのは……)


私たちはたかが二番手・・・・・・・・・・? そんな不名誉な扱いを受けて・・・・・・・・・・・・・最悪死ぬことになるの・・・・・・・・・・? 一徹君が(カッコカリ)》を付けるって、そういう事だから】


【そ、ソイツぁ】


 一徹は、シキの話を耳に黙ってしまう。


「これがこの国の皇? とんでもない。なんという……泥棒猫。自らをトリスクト様と取って代わろうとする・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんて……」


 話の意図を、ライブ映像通してルーリィもシャリエール達も分かってしまう。

 うちのめされ、シャリエールまで震えた声を漏らした。


【……スマン。考えが足りてなかった】


 その嘆願……


【この場にいるのが、今の俺にとってベストメンバーだ・・・・・・・・・・・・・・・


「「くぅっ」」


 悪い方へと転がってしまう。


(お願いだ一徹。もうそれ以上言わないで。それでは……)


【状況を、開始するぞ】


 シキの訴えは一徹に通ってしまう。


 敵生体に意識を向ける故、一徹は気付かない。 

 一徹に目を向けた陸華、海姫以下らの表情、心なしか嬉しそうにも見えた。


【フゥ……《山本小隊・・・・》! 散れっ!?】


【【【【【了解っ!】】】】】


 もう、(カッコカリ)は付かなかった。


 ……一徹が率いる隊、《山本小隊》。

 間違いなく、ルーリィやシャリエール達にとっての特別な居場所だった。


 隊員であることは、一徹との絆だった。 

 副隊長職は一徹の隣に立つことを許され、婚約者だからこそなり得る、ルーリィにとってはそんな立ち位置。


「これまでの7、8か月は一体何だったんだ。私は……何をしてきたんだ?」


 記憶を無くして第二の人生を始めた一徹。

 自分の生に感謝し、争いがあったら恐れるような、男らしくはないかもしれないが、その無垢さがあまりに尊かった。


 ……決してその純粋さを失わせない……


 どんな手を使ってでも、一徹を守るとルーリィ達は誓ったはずだった。


「何かできたのか? 何もできなかったじゃないか」


 半年以上が経ち、今日蓋を開けてみた。

 自分が死ぬかもしれないのを厭わず、この世界の誰もが顔をしかめる死地に一徹は身を置いていた。

 安全なところで、身を震わせてでもルーリィ達は生き延びてほしかったのに。この死中においては堂々とした立ち振る舞いを見せていた。


 4月に再会した頃のあの真っ白さのままでは、今日び大帝国ホテルに立てるわけがなかった。


 ならばこの展開は何を意味するものか。


 一徹は今日までの間に、何度となく危険に身を晒し、死線をくぐってきた……ということ。

 ルーリィ達は助けることも、守ってあげることも出来ていなかったと、ルーリィ達に指し示してしまった。


「私達、何て愚かで無力なのでしょう」


 ルーリィが弱気になってなお、いつもは毅然とするシャリエールでさえ、画面に映る光景にショックを受け、心を弱らせた。


「元の世界とは違う。守られてばかりだったから、せめてこの世界でだけでも、お守りして差し上げたかったのに」


 4月。

 ルーリィやシャリエールは、この時から勇気を奮って・・・・・・想いを一徹に伝え続けてきた。

 でも既に、月城魅卯というこの世界の少女の、一徹への接近を許してしまっていた。


 10月。

 一徹はルーリィのことを本気で好きになってくれた。だから魅卯を選ばなかった。

 でも、感情的には二人は両想いになっていた・・・・・・・・・・・・・・・・・


 もう11月が終わろうとしている。

 これまで臨時編成した小隊には、(カッコカリ)を設けてくれていた。

 正規小隊とは、一徹がルーリィ達に用意してくれていた特別。


特別が・・・……取り外された・・・・・・

 

 ひとえに……守ることも助けることも出来なかったルーリィとシャリエールに、一徹が特別を感じなくなったから・・・・・・・・・・・・・・・ではないかと、ルーリィにはそうとしか思えない。


 ……これが、シキののたまう《山本一徹略奪ショウ》。


 一徹の隣、一徹からの特別・・・・・・・・・・・・

 ルーリィやシャリエール、ひいてはリィンたちから奪うもの・・・・


 まだ……終らない。

 まだまだ、終わらない。












 あったらぁす。あざざ~す。

 ダイジェストみたいな投稿ばっかしてんのに、前回の投稿で☆ぃ貰えやしたぁ。


 こんなねぇ、トレンドから180度は違って1000里はかけ離れたこの物語の癖に。


 ちょ、嬉しすぎて、後悔するつもりなかった本話、挙げさせていただきゃ~した。


 やっぱ☆とか貰えちゃうと「もちっと頑張って書いちゃおう」とか「話公開しちゃおう」とこ思いやすね。

 気合も改めて、全力でルーリィもシャリエールも絶望に墜としてやる。

 全力で一徹をヒロインから奪わせまくって苦しめてやんよ。

 

 そろそろシキにも生きるか死ぬか感じてもらいやすか。


 ルーリィと魅卯とシキには、一徹を・・・寝取られて貰って・・・・・・・・……あっ!?


 

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